祭り当日

 ケンはソウスケと祭り会場に来ていた。

「凄い賑わってるな」

「そうだな。アリス迷ってなければいいけど……」

 ポンとソウスケが肩を叩いた。

「大丈夫だろ美咲も付いてるし」

「そうだな。ソウスケは人と待ち合わせだっけか?」

「まあな。っと噂をしたら来たきた」

 振り向くりそこには紺色で赤、青、黄と色んな色のアジサイの浴衣を着たアリスと美咲が登場した。

「やっほー。ソウスケ」

「道とか大丈夫だったか?」

「大丈夫、大丈夫。ケンもやっほー」

 美咲は手を振ってくれたが俺とはあんまり接点がない。

「どうも……」

 会釈が精一杯だ。

「ほら。見てアリスめちゃくちゃ綺麗でしょ!」

 ソウスケも頷いていた。

「確かにな」

「でしょ! お持ち帰りしたい……」

「ちょっと美咲ちゃん!」

 戸惑うアリスにソウスケが美咲の肩を掴んだ。

「そこまでにしとけ。行くぞ。お守り買うんだろ」 

「そうだった。それじゃあね。アリス、ケン」

「うん。またね美咲ちゃん」

 手を振って楽しそうにソウスケと話していた。

 クラスメイトでもあんな風に仲良く話しながら喋るもんなんだな。

 アリスが二人をずっと見つめていた。

「いいなぁ……。恋人同士って」

 恋人同士か……。

 ……え? ちょっと待って。恋人? ソウスケのやつが恋人? 

「ちょっと待ってくれアリス。あの二人付き合ってるのか?」

 アリスは頷いていた。

「うん。そうだよ知らなかった?」

「いや、全く……」

 これまで学校でも離れた感じで。ソウスケもいつも彼女を作りたいって叫んでいたからてっきりいないもんだと思っていた。 

「恋人か……。俺にとっては遠い存在だな……」

 アリスが服を引っ張ってきた。

「ど、どうかな? ケンにぃ……」

「可愛いよ似合っているよ」

「そう? えへへ……」

 アリスは顔を真っ赤にしていた。

 やっぱり妹は可愛いな。

 こんな大勢の中歩くんだから迷わないようにしないと。

「んじゃ。行くか」

 アリスの方に手を差し出した。

「うん」

 手を握って屋台に向かって行く二人だった。


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