新作ケーキ
ゴールデンウィーク。ケンはバイトの日々に追われてていた。
「お待たせしました。こちらモンブランになります」
注文された二つの皿を並べるとお客の二人が喜んでくれた。
「美味しそう」「ねー。あ、店員さん写真とっても大丈夫かしら」
「はい。もちろんです。もし良かったらお友達とかこの店を紹介してください」
「ありがとう」
写真を撮って食べ終わり二人は席を立った。
「美味しかったね」「ねーまた来ようね」
「ありがとうございました」
ケンはお辞儀しテーブルを片付けようと振り返ると店長がため息を吐いていた。
「はぁーなにかないかしらね」
ケンはマスターに近づいた。
「どうしたんですか?」
「いやね健太ちゃん。ここのケーキ数が少ないと思わない?」
「そうですか?」
店内のあるメニューはショートケーキ、チョコケーキ、チーズケーキ、モンブランの四種類だ。
「普通だと思いますが?」
「そう?」
マスターは首を傾げていた。
すると休憩をしていた茉莉奈が戻ってきた。
「今戻りました……あれ、お客さんいないんですね」
さっき出て行ったお客さんが最後で店は三人だけだった。
午後の1時過ぎ。今日入って来たのが6人。まずまずの方だとは思う。この喫茶店では……。
するとマスターが茉莉奈に話しかけていた。
「ねぇ茉莉奈ちゃん。ケーキの数少ないと思わない?」
「え? そうですか。普通だと思いますが」
茉莉奈も同じ反応だった。
それよりも腹が空いて今でも倒れそうでしかたがない。
「すいません。休憩に入っていいですか?」
11時過ぎぐらいからお店が混雑してしまいずっと接客していた。
「あらそうね健太ちゃんは休みに入って頂戴。イ・マ。
「すいません……」
茉莉奈も頭を下げた。
「健太さん。ありがとうございます」
「少しの間よろしくお願いします」
ケンは手をふり休憩室に入って行った。
マスターが作ったオムライスを食べながらふとケーキのことを考えてた。
種類は今のままでも大丈夫。味も美味しい文句もない。
「うん。今のままで大丈夫だな」
休憩を終えその日は数人ほど接客をした。
アパートに帰り晩御飯アリスに相談していた。
アリスは首を傾げる。
「そう? 四つじゃ足りないの?」
喫茶店にアリスは寄った事ありケーキ美味しいって言ってくてた。
「だよな……」
お客目線からみたアリスからも大丈夫と言ってるし明日マスターに話してみるか。
明日の朝、マスターに大丈夫と伝えた。
「なんでそんなに困ってたんですか」
「あら、内容まで話してなかったわね。イチゴをくれる知り合いが、ブルーベリーを作ったから頂いたのよ。それで新しいアイデアがないか相談していたわけ」
「あ、そうだったんですか」
茉莉奈も頷いていた。
するとマスターがハッとなにか閃いた顔をしていた。
「そうよ。そのままケーキにすれば良かったのよ。なんで気づかなかったのかしら」
「「はあ……」」
ケンと茉莉奈は置いてけぼりになっていた。
「それじゃあ。茉莉奈ちゃん試作一緒に作りましょう」
「え、なんで私なんですか?」
マスターは茉莉奈に近づき内緒話をしていた。
「決まっているじゃない。これでもしかしたら健太ちゃんも認めるかもしれないわよ?」
こっちの方には全く聞こえてこなく内容がわからない。
すると茉莉奈がいきなりガッツポーズをしていた。
「頑張ります! 健太さんもし作れたら食べてくれませんか?」
「はい。わかりました」
新作ケーキを作るためだし味見役なら別にかまわない。
「それじゃあ。行きましょうか茉莉奈ちゃん」
「よろしくお願いします店長!」
茉莉奈は頭を下げマスターと一緒に厨房の方に入って行った。
ケーキ作りしたかったんだな。
二時間後。二人が戻ってきた。
「お疲れ」
茉莉奈がこっちに来て皿を置いた。
「健太さんそれじゃあ。よろしくお願いします!」
茉莉奈の顔が赤くなっていた。それもそのはずだ。この店の看板が決まるんだから。
「それじゃあいただきます」
一口サイズに切り食べてみた。
「ど、どうですか?」
クリームの甘さとブルーベリーが持つ酸っぱさが喧嘩してなくていい。そして最後にブルーベリーの後味がしっかりと生かされていた。
「美味しい。これ物凄く美味しいよ」
するとマスターと茉莉奈がハイタッチをしていた。
「や、やりました店長!」
「良かったわね茉莉奈ちゃん!」
二人とも嬉しそうだな。良かった良かった。
「それで健太ちゃん少しは茉莉奈ちゃんのこと見直したかしら?」
「何言ってるんですかマスター茉莉奈さん良い人ですよ」
するとマスターはため息を吐ていた。
「それはわかるけれど。そこじゃないのよね」
嬉しがってた茉莉奈も少ししょんぼりしていた。
どうゆうことなんだろう?
「それじゃあ。このブルーベリーケーキ明日からお店に出しましょうね」
「はい。わかりました」
ブルーベリーケーキがこのゴールデンウィークにヒットし売れた。
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