初めての秋葉原

 5月も今日で終わり6月になろうとしていた。

 今年は沢山アリスを喜ばせよう思っていたけれど遊園地以外行けてない。

「遊園地か……」

 一緒に湯船で浸かっていたアリスが寄りかかってきた。

「遊園地がどうしたのケンにぃ?」

「ん、いや。アリスを沢山の場所に連れて行こうと思っているんだけど。5月はそんなに行けてないなって」

 アリスは赤くなっていて微笑んでいた。

「私はケンにぃと一緒に来れて嬉しいよ」

「それなら良かった」

 ケンはそっとアリスを抱きしめる。

 風呂から出てゲームを一緒にやっている。

「ケンにぃ家作ろう」

「はいよ。素材集めようか」

「はーい」

 素材を集めていると12時を回っていた。

「あれもう時間だ」

「ホントだね」

「じゃあ今日は寝ようか」

 ケンは自分の部屋に戻ろうと立ち上がる。

「ねぇケン」

「ん?」

「明日秋葉原に行ってみたい」

「アキバ? いいけどなにか欲しいのがあるのか?」

 アリスは頷いた。

「動画で見たんだけどマジカルダンスのルナのフィギュアがあるんだって」

 ルナはマジカルダンスの敵キャラだ。負けじとルンに立ち向かう姿に惚れたらしい。

「ウソ! ということはルンも置いてあったか?」

 アリスは首を傾げていた。

「えーと、ごめんね。覚えてない」

「そっか大丈夫」

 遊園地のときアリスが行こうと約束したからな。

「よし、明日秋葉原に行くぞ!」

「おー!」

 その日は寝て明日8時に起き電車に乗った。

「楽しみだねケンにぃ」

「だな」

 子供みたくはしゃぐアリスを見ていると秋葉原に到着した。

 降りると物凄い人が歩いていた。

「凄い人だね」

 ちょくちょく外国人も歩いたりアニメTシャツを着て歩いたりとテレビで見た通り凄い街並みだ。

「あぁ……」

 本当にアニメが好きなんだなと思うと安心感が生まれてくる。

「じゃあ行こうケンにぃ」

 アリスが手を握ってきった。

「まずはゲームセンターに向かってみるか」

「ゲームセンターも良いけどまずアニメが沢山売ってるあの場所に行きたい!」

 アリスはアニメ専門有名店を指さしていた。

「おぉ、あそこも行きたかった場所だ!」

 マンガやライトノベルだけじゃなく色んなアニメグッズを置いてあるから気持ちがワクワクしている。

「よし、行こう!」

「うん!」

 店内に入った瞬間本がタワーのみたく高く積みあがっていた。

「凄い……」

「ね……。あれって取っていいの?」

「わからない」

 取った瞬間に絶対に崩れそうで怖かった。

「それにしても沢山の漫画が並んでいるね」

 陳列ちんれつされた棚も漫画とラノベだらけでこれも圧倒されてしまう。

 近くの書店も漫画とかラノベは置いてあるが欲しいのがない時があり注文とかで買ったりしている。 

「何か欲しいのとかここで買っておくか?」

「うん。なんか見慣れないところ来ると何か買って思い出にしたいよね」

「そうだな。なんかそうゆう気持ちになるよな」

 衝動買いだけどここの場所だと珍しいとか置いてあるかもしれないと童心になった気持ちで店内を探索する。 

 するとアリスの足が止まり握っている手を引っ張ってきた。

「ねぇケンにぃ見てみて! 去年にやった四コマの女の子が全巻揃ってるよ。あとこっちも揃ってる! 凄いね」

「本当だな……流石、秋葉原……」

 アリスは三冊を手に取った。

「これだけにしょうと」

「良いのか?」

 アリスは頷いた。

「うん。帰りが重くなるのは大変だから」

「俺が持つよ。そしたら大丈夫だろ」

「え? 良いの」

「もちろん」

 アリスは首を傾げている。

「うーんラノベコーナーに寄ってから考えるね」

「了解」

 ラノベコーナーによりアリスはまた、三冊ほど手に取った。

 イラストタイトルを見ると知らない名前のラノベだ。

「アリス。これってどんな物語なんだ?」

 するとアリスが赤くなっていた。

「え!? えっと……兄妹で普通に生活しているんだけど。い、妹が兄に恋をするお話です」

「ふーん」

 兄に恋か……定番といえば定番だしドキドキする展開が多いから良いもんだなと思えてくる。

「ほ、ほら良くあるお話なんだよ! 試しに呼んでみたら面白いから読んでみて」

「わかった読んでみるよ」

 アリスから受け取ってレジの方に向かった。

「……ケンにぃもこっちに振り向いてくれないかな」

 アリスは小さな声でなにか言っていた。

「ん? どうしたアリス」

「い、いやなんでもないよ」

 会計を済ませて店を出た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る