喫茶店バイト
放課後のホームルームが終わりケンのところにアリスが近づいて来た。
「ケン、今日もバイトだっけ?」
「そうだよ」
「わかった。夕飯はカレーでも良い?」
「お、今夜はカレーか」
アリスの作るカレーは美味しいから好きな料理だ。
「出来るだけ早く帰るな」
アリスは頷いた。
「うん。美味しいの作って待ってるね」
アリスは手を振って教室を出ていった。
「羨ましいな」
ソウスケが喋りかけてきた。
「なんだソウスケか」
「なんだってなんだよ」
ソウスケもこの学校に受験していたのを全く知らず高校に入ってからも仲良く喋っている。
「そうやって料理をしてくれる女子がいて俺なんて彼女すら居ないんだぞ! 誰か紹介してくれ」
ソウスケはこっちに制服を掴んでくる。
「離せって部活で真面目にやってれば彼女出来るかもしれないだろ。俺はそうゆう女子の気持ちとかわからん」
「ケンは彼女とか興味無いのか?」
「ないよ。彼女とか作るきないし」
アリスは一緒にいてわかるが。他の女子が何を考えているのかわからない。
「それに俺にはマジカルダンスのルンが居るしな」
ダンスで歌いながら魔法で敵を倒すのだがケンが好きなアニメの主人公のルンという子が好きだった。
アリスと語ったことがあるが、アリスはライバルの女の子が好きらしく意見が割れてる。
ソウスケは「はぁ〜」と何故かため息を吐いていた。
「ケンて本当にオタクだよな」
「まあな」
自分でもアニメオタクだと理解はしているよ」
するとスマホからアラームが鳴りだす。
「やば! 遅刻する」
ケンは鞄を持って席を立った。
「じゃあ俺、バイトだから。部活頑張れよ」
「おう。そっちもな」
ソウスケに別れを言っていつもバイトしている喫茶店に向かった。
喫茶店に着き扉を開けるとカウンターに立っている《男性ぽい》人が立ってた。
「あら、健太くん。お疲れ様」
「お疲れ様です店長」
カウンターで立ってるのは店長でケンが高校を入った頃からお世話になってる人だ。
「もう、アタシのことは、カヲルって呼んでって言ってるでしょ」
腕をクネクネとし口元を持っていくと「ヌフフッ」とオネエぽく笑った。
店長は優しいけどオネエのせいなのか、店にはあまり人がいなかった。
「そういえば遊園地のチケットありがとうございます。アリスも喜んでくれました」
「あらそうなの、良かったわ。それじゃあ今日もよろしくね。茉莉奈ちゃんが先に来ているから」
あ、茉莉奈さん。来ているんだ。
「わかりました」
ケンは自分の制服があるバックヤードに向かう。
マスターはため息を吐いていた。
「本当は茉莉奈ちゃんが、一緒に行けたらと言ってたから渡したけど失敗だったみたいね」
ケンの向かった方を見ていたのだった。
バックヤードに向かうと眼鏡をかけた少女が重たそうにダンボールを運んでいた。
あ、茉莉奈さん。
この喫茶店で働く同じ年の茉莉奈。一緒に働くがあまり接点がないが気の利いく子だ。
「茉莉奈さん待ちますよ」
こっちに気づいたのかハッと明るくなった。
「お疲れ様です健太さん。良いんですか」
「はい」
ケンは茉莉奈からダンボールを受け取り荷物を置く場所に置いた。
「ありがとうございました。健太さんやっぱり力持ちなんですね。尊敬します」
茉莉奈は何度もお辞儀をしていた。
「そんなことないですよ。じゃあ制服に着替えてきますね」
「はい。わかりました」
ケンは制服に着替えて接客を始める。
「いらっしゃいませ。二枚様ですね。お席に案内します」
「健太さん。テーブル片付けて置きますね」
「ありがとうございます」
茉莉奈はテーブルの食器を持っていってカウンターに置いた。
本当に気が効く子だな。
カウンターの方でマスターがケンを見ていた。
「茉莉奈ちゃん不憫よね。まぁ健太ちゃんは妹想いでいい子なのだけど」
マスターは不適な笑みをし低い声で。
「アタシが健太ちゃんを男にしようかしら。ウフフッ……」
ケンの背筋が凍りついたのはマスターは知らない話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます