私、お兄ちゃんのために頑張るね

 アリスは布団を抱きしめで叫んでいた。

「あぁぁうぅぅぅ!」

 ケンの顔見てたらなんかもう、なんかもうカッコ良く見えてくる!

 手を握ってくれたときとか手の甲があったかい温もりが残って頭も撫でてくれたことがとても嬉しい。

 バスの時に見たアニメが感動した。

 小さい頃も暗闇で迷子になった時に「帰ろう」と迎えに来てくれたこと。

 野良犬からも助けてくれた。 

 そんな優しい言葉をかけてくれてそばに居てくれて支えてくれた。

 けど未だにケンのことをみる鼓動が早くなる原因がわからない。

「お兄ちゃんだから?」 

 私は制服を着て頬を叩き気合をいれる。

 両親のために、これから家族になってくれる人のための恩返しだ。

 ケンと一緒に教室に入るとミホがこっちに歩いてきた。

 またいじめられる……。

 拳を握りしめ唇を噛みしめる。

 ミホは小さな声で、

「いままで悪かった……」

 そう言って通り過ぎアリスをいじめていた二人も去っていく。

「え……なんで」

 ソウスケも近づき頭を下げた。

「悪かったアリス。俺、何もできなくて本当にすまなかった」

「え、そんなソウスケが謝ることないよ」

「いや、友達がいじめられているってわかっていたのに手を差し伸べられなかった自分が悔しいんだ……」

「……ソウスケ」

 嬉しかった。こうやって謝ってくれたことが。

「ありがとう」

 頭を上げケンをみていた。

「ケンは凄いよ」

「ケンにぃが凄い?」

「あぁ、アリスがくじけないようにそばに居て支えて助けていたから本当に凄いよ」

 そっかようやく分かった。

 小さい頃から助けてくれて今も手を差し伸べてくれたケンに、私は恋していたんだ。

「嬉しい……」

 感謝の気持ちがいっぱいだった。


 授業が終わりアリスはケンとお風呂に一緒に入っていた。

「ねぇお兄ちゃん」

「ん、なにアリス?」

「私、お兄ちゃんのために頑張るね」

「ありがとうな。アリス」

 ケンは優しく頭を撫でてくれた。

 これからもお兄ちゃんのために支えてくれた恩を返したい。

 

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