中学生編 3章 アリスの恋

好み

 ケンが家に帰るとアリスが家の前でウロチョロしていた。

「なんでアリスが?」

 日曜に出発したはずだけど帰りが早い。

「アリスどうした」

「っ!」

 ビクッと怯えた猫みたいになってた。

「ケ、ケンにぃ! い、い、いらしゃい!」

 いっらしゃいって……。

「おかえりアリス」

「え、そうだった……。た、ただいまケンにぃ」

「ここで何しているんだ?」

「え、えっと家族だってケンにぃが言ってくれたけど中に入っていいのかわからなくて」

「なに言ってんだ?」

 俺はアリスの手を握った。

「ほぎょ!」

 ん? ほぎょ?

 アリスから聞いたことのない声をあげてこっちがビックリする。

「どうした大丈夫か?」

「う、うん大丈夫……」

 アリスの頬が真っ赤になっていた。

 色々のことで疲れたのだろう。

 家に入り上がろうとして手を離すと袖口を掴まれた。

「ア、アリス?」

「ケン。その……部屋に来て」

「部屋に? わかった」

 やっぱりどこか様子がおかしい。

 アリスの荷物を部屋に運んでベットに二人揃って並んでいた。

「それでどうした?」

「お兄ちゃんの……好みを教えて!」

「好み?」

「そう! 好きな食べ物とかどんなアニメが好きなのかとか!」

「好きな食べ物はカレーでアニメはギャグかな。それを知ってどうすんだ?」

「え……。お兄ちゃんについて色々と知りたいから」

 ああ、そうか俺が家族にするって言ったから意識してしまってどう話せばいいのか分からなかったんだな。

 俺は手をアリスの頭にそっと置いて撫でた。

「心配しなくてもこれからお互いの事知る機会が多くなるから。焦らなくても大丈夫だよ」

 俺はベットから立ち上がった。

 ケンは自分の部屋に戻っていった。

 そうこれから家族なんだから焦らないようにしよう。




 


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