俺が出来ることは
お風呂でアリスに抱きつかれ泣いているときに思った。
こんなに苦しんでいるんだ。だったら俺がせめて家族として兄になろうと。
アリスに伝えたら吹っ切れた表情をしていた。
向こうでも悲しくならないようにと俺が好きなのを渡したが必要なかったかもしれない。
アリスを空港まで見送った。
「アリスが頑張っているんだ。俺が出来るはただ一つ……」
ケンは次の日学校に足を運んだ。
今日教室に入るとアリスの机の上に花が置いてあり酷い言葉が沢山書かれていた。
こんなをする奴らはわかっている……。
ケンはマホ達にに近づく。
「あれ古川くんだけ? 今日は銀髪ちゃんいないんだ〜。もしかして、お国に帰っちゃったとか? うけるわ」
「やめてよマホ、笑いすぎいて腹痛いから。あはははは!」
二人は笑っていて一人はお菓子を食べていた。
俺が出来る事はただ一つ。アリスをこれ以上悲しませないようにするためだ……。
ケンはその場で正座し土下座をした。
「お願いします。これ以上アリスをいじめないでください。お願いします……」
笑っていた二人がこっちを見ている。
「なにあれ? いきなりすぎてキモいんですけど。惨めすぎて笑える」
「マジでそれ! キモすぎ。プライドとかないわけ?」
これが惨め《みじめ》だと言うならいくらでも頭を下げるそれがプライドだ。
暴力をやった所で仕返しがくると分かっている。話し合いも分かり合えるなどない。そこから話がこじれ今と変わらない。だったら相手が参ったというまで何度でも頭を下げるまでだ。
「お願いします。あいつに手を上げるのだけもうしないでくれ」
するとマホの足で踏みつけられた。
「ぐぅ!」
「なに? さっきからキモいんですけど、もしかしてシスコンとか? うわキモすぎるからささっと消えてよ」
そうだ。俺はあいつを妹とすると決めたんだ。シスコンだろうが何だろうが構わないさ。
「アリスは俺の家族だ! 大切な妹なんだ。だから頼む!」
「意味わからないこと言ってんじゃねえよ!」
マホをダンッダンッと何度も踏みつけられて鼻血が止まらなく出てくる。
「マジでさっきから何なんだよ! キメェんだよ! あの銀髪の両親が死んだみたくお前も死んじまえばアイツも来なく――」
ガダンッ!
教室で物凄い音が聞こえて静まり返った。
みんなが注目した先は三年の高本先輩だった。
「え……。な、なんで高本先輩が居るんですか?」
マホは動揺を隠しきれてない。
「彼が呼んでくれたんだ……」
高本先輩の後ろにソウスケが立っていた。
俺も予想外の展開だった。
「なんで高本先輩なんだ? 予定と違う」
予定では先生が来るはずだったのに……。
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