そばに居て……
アリスが急に帰国すると言ってきた。
「本気に……帰るのか?」
アリスは小さく頷いた。
「そっか……ごめん。情けない従兄弟で本当にごめん」
アリスは全力で首を振っていた。
「ううん。ケンにぃには感謝しても仕切れないよ。ありがとう」
「……アリス」
落ち込むアリスの表情をしていると守れなかった自分が心底嫌になりそうだ。
少しでも一緒に居たかった。ゲームを一緒にした日々の笑顔をもう一度見たかった。
「今度は遊びに来て欲しい。楽しいところを紹介するから」
「ありがとうケンにぃ……」
アリス自分の部屋に行こうとしたとき母さんがアリスを引き止めた。
「アリスちゃんちょっと電話代わって欲しいの良いかしら?」
電話を代わって話を聞きくと日本語じゃなく英語で喋っていた。
「……wats!? ……YES……YES」
受話器を置くとアリスが俺のところに抱きついてき泣き出し崩れた。
「アリスどう……」
「ウッ……。ウアァ、アァ………。パパ……、ママ……。あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
数時間後経ち話が出来るが状態になったが、まだ鼻声だった。
「それで話を聞いてもいいか?」
アリスは唇を噛み締めていた。
「パパとママが……殺されたって……」
「え……?」
アリスの両親が殺された……?
衝撃過ぎて話がついていけない。
「殺されたって誰に……?」
「空き巣だって……。それでもう警察の方が捕まえたって言ってた」
「そうか……」
アリスは涙をまた流していた。
「なんで私だけこんな目に遭うの!? ねぇどうして!」
俺の胸をドンドンと叩いていてまた泣き崩れた。
「酷いよ、神様……」
俺は何も言えなかった。
今もアリスの両親が亡くなったって信じられなく言葉を失ってしまったからだった。
◇
アリスの両親が亡くなって2日が経ち部屋で一人布団にうずくまっていた。
「……」
なにもしたくなかった。
動かそうと思うと気持ち悪くなり吐きそうになったことがあった。
明後日に両親の葬式だから明日には飛行機にならなかてはならない。
家に帰ったらお帰りって言ってくれる人がなんで居ないの……。
両親が笑顔で見送ってくれた顔が今で覚えている忘れるわけがない。
「会いたいよパパ。ママ」
「葬式には出ようと。じゃないと嫌だ」
アリスは風呂場に向かった。
ガチャ。
ドアを開けるとケンが浴槽に入っていた。
「……え、アリス?」
「ケンにぃ……」
両親が亡くなった日。ケンを殴った事を謝ってなくなんて喋っていいのかわからなかった。
「なんでアリスが入ってくるだ!?」
「……明後日に両親の葬式だから明日には飛行機に乗らないと行けないから。風呂に入って汚れを落とそうと思って」
「明日飛行機にか……。それじゃあゆっくり浸かってくれ。お休みな」
ケンは浴槽から立ち上がって通り去ろうとしていた。
なぜか知らないけど両親が笑顔で二人揃ってどこかに去って行く気がしてケンまでもがどこか遠い場所に行ってしまうんじゃないかと思ってしまった。
待って! 私を一人にしないでお願い!
必死に手を伸ばす。
「お願いだから置いていかないで!」
ケンに届き私は必死にしがみついた。
「……お願い置いてかないで」
頬が濡れている。涙がまた出てんだでも違う気がする。目を開けるとケンの背中だった。
ケンは振り返った。
「大丈夫だアリス。置いていかない。絶対にもう不安にさせないだから……。妹として俺の家族になってくれ」
私がケンの妹に……。
「本気に妹にしてくれるの……」
「もちろん。家族になるからそばにいて欲しい」
そう言われた瞬間両親が現れた。
「アリス今は辛いもの知らないが大丈夫だアリスには新しい家族が居るから泣かないで笑ってくれ」
「パパ?」
「アリス。元気でケンくんと一緒にね」
「ママ?」
二人はアリスに抱きつかれた。
「「いつも見守っているから……」」
そして霧になって去ってしまった。
「……私、頑張るよ」
アリスはケンの方を向いた。
「ねえお兄ちゃんたまにでいいから一緒にお風呂に入ってくれない? 多分泣いちゃうと思うからそばにいて……」
ケンは頭をかきながら。
「わかった。それじゃあ今から背中を流してあげようか?」
嬉しかった。最初来たときに一緒にお風呂に入りたいって思えたから。
「うん。お願い!」
アリスは風呂椅子に座った。
「そっか吹っ切れたんだな」
ケンは小さな声で喋ていてよく聞き取れなかった。
「なにか言ったケンにぃ?」
「いや、なんでもないよ。それよりこの後良かったら俺の部屋に来てくれないか?」
「うん、わかった」
背中と髪を洗ってくれたあと一緒に湯船に浸かった。
着替えてケンの部屋に来てケンは何か探していた。
「えーとこの漫画とこれとあれと……」
なにやら紙袋にぎっしりと詰め込んでいた。
「アリス。良かったらこれらを貰ってくれないか?」
さっき詰めていた紙袋を覗いてみるとアニメのdvdや漫画が入っていた。
「これ……」
「俺のオススメの漫画とかだよ良かったら向こうで読んでほしい」
ありがたかった。向こうだと不安もあったから。
「ありがとうお兄ちゃん」
こうしてアリスは飛行機に乗っていった。
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