中学生編 2章 いじめ
いじめ
高本先輩から告白の返事をした翌日。まだ頭がふわふわする。
「おはよう……」
教室を開くとクラス全員が一斉にこっちを見ていた。
ざわざわする中自分の机を見てみるとそこには……。
死ねよ。帰れ、帰れ、帰れ。調子乗ってるな潰す。
マジックで書かれていた。
頭の血がどんどん引いていくのがわかっり一瞬だけ意識が途絶える。少し意識してみると辺りがテレビ画面の砂嵐みたくなっていて耳元がザーと鳴り出す。
なにこれ? え、あの机って私の机……。なんで? なんで書かれているの?
「可愛そうに……」「まさか……」「え、あれ誰がやったの?」「知らないわよ」
目の前の光景と耳で聞く情報量が多すぎて意識がまた飛びそうになった。
背中が汗がどんどん溢れてくるのがわかり寒気がする。
そして一本の糸が切れたみたいに意識がプチンと切れた。
「「アリス!」」
ケンにぃ……。
そして目の前が真っ暗になった。
「んん……」
目を覚ますとベットで寝ていた。
「ここどこ?」
確か机になにか――っ!
さっき見ていた光景がフラッシュバックしてきて気分が悪くなりシーツを掴む。
なんで机にあんな酷い事書かれていたの。私何かしたの?
胸の中に手を当ててみたけどが見当たらない。
するとカーテンがシャーとスライドしケンが顔を見せた。
「っ! アリス!」
ケンが近づいく。
「大丈夫か!」
「う、うん……」
ケンの顔を見たら少しだけ気分が軽くなった。
「そっか良かった」
ホッとケンは安堵していた。
「私なんでここで寝ていたの? 気が付いたらここに居て」
「…………教室で倒れて保健室まで運んだんだ」
「え? 倒れた」
気が付かなかった。ケンがここまで運んでくれたことさえ全く。
「今日は帰ろうアリス」
「……」
帰る前に疑問が残っていた。
「あの机に書いたのって誰なの?」
「わからない。でも予想出来るとしたら佐藤さとう達だ」
「さとう?」
名前を頼りに振り返ってみると三人で喋っていて私に嫌な顔をしてきた人。佐藤 マホ。
机に書いたのも多分マホ達だと確信する。
これから先いじめがエスカレートしてくるんじゃないかと不安になってくる。
「ねえケンにぃ。私上手く学校生活出来ると思う?」
「だ、大丈夫。今日はみんな調子が悪かっただけさ。明日は普通になっているから安心しろ」
「うん……」
アリスとケンは早退した。
次の日登校してみるとまた机に落書きがしてあった。
意識ははっきりしており周りを見てみるとマホたちがクスクスと笑っていた。
私が何か言えばそれが油となってエスカレートしてしまう材料になるかもしれない。だからなにも言わなければすぐに飽きると思う。
グッと拳を握って我慢した。
次の日から教室に入り書かれているマジックを消す。それが習慣になっていた。
「俺も手伝うよ」
机を拭くのを手伝ってくれたのはいつもケン一人だった。
「ありがとうケンにぃ。でも私に構うとケンにぃまでがいじめられるから手伝わなくて大丈夫だよ」
ケンは首を振っていた。
「いや、手伝わせて欲しい。いじめを俺はなくしたい」
「……ありがとうケンにぃ」
これが精一杯の言葉だった。
学校を休みたい。けど日本に送ってくれたお母さんとお父さんに悪いし。ケンの両親に申し訳なかった。
いじめはなくならなくエスカレートしていった。
マホ達にトイレで呼び出されて水が入ったバケツを思いっきり被せてきたり。上履きがゴミに捨てられていたこともあった。しまいには階段を降りている最中に突き飛ばされて階段を転げ落ちると大怪我寸前なことをされて肉体と精神がボロボロになっていく。
涙が止まらなく、ついにお母さんに電話して事情を説明した。
『そう……それじゃあ帰ってきなさい』
「いいの? せっかく日本まで送ってくれたのに」
『いいわよ。アリスが心配だものそっちの両親には私が説明してあげるから。だから帰ってきて』
「うん……ごめんねありがとう」
アリスは電話を切って帰国する準備を始めるのだった。
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