告白

 月日が経つのはあっという間で一ヶ月が過ぎていた。

 下校のチャイムが鳴った。

「またね。アリス」

「うん。またね」

 クラスメイトに手を振って机で友達のソウスケと喋っているケンの所に向かった。

「あの必殺最強過ぎるだろ」

「確かにな。ん、お疲れアリス」

「お疲れ〜」

 ソウスケが席を立った。

「俺は部活だから。行くわ」

「頑張れよ」

「おう! 今日も待っている女子たちのためにやってやるぜ」

「お前は何のためにサッカー部入っているんだよ」……」

「なにってモテるために決まってるだろ! ケンもサッカー部入れば女子たちにキャーキャー騒がれるぞ」

 ケンはため息を吐いていた。

「お前じゃなくて三年の高本先輩目当てだろ」

「そんなことないし! 俺に夢中なんだよ多分」

 ソウスケの気分が少し暗くなって苦笑いするにかなかった。

「アハハ……。でも、ソウスケくん。凄く頑張っているよね」

「マジで!」

「うん。私、運動出来ないから羨ましいな。だから頑張って」

「おうサンキュー! ヤベェやる気がマックスじゃあ。うひょ〜〜!」

 嵐みたく教室を去っていった。

「じゃあ俺たちも帰るか」

「うん」

 ケンはカバンを持って教室を出ていった。

 二人とも部活は入ってなく。学校の色んな音が聴こえてくる。

「ケン。今日の晩ご飯何がいい?」

「そうだな……ハンバーグかな」

「いいね、ハンバーグ今日も美味しく作るからね」

「あぁ楽しみにしているな」

 靴箱を開く一枚の紙がヒラリと落ちていった。

「ん? なにか落ちたぞ」

 紙を拾うとと自分の名前が書かれていた。

「なんで私の名前が書いてあるの」

 宛先人を見てみると高本だった。

「高本? たかもと……たかもと……」

 頭の中で誰なのか考えてみたけど誰なのかわからなかった。

 でも、最近聞いたような気がするけど思い出せない。

「ねえケンにぃ。たかもと、って誰だか知らない」

「いや、さっきソウスケと話してたろ三年の先輩。

サッカー部の部長で凄い人だって」

「へー」

 あまり接点が無かったから誰なのかわからなかった。

 封筒を開けてみるとそこには、

【好きです付き合ってください。返事は明日の放課後の体育館で待っています】

 と書かれている。

 文章の意味が全くわからなかった。

 好き? 好きって、え、誰が。……私?

 ……私!?

 理解が追いつかなかった。初めて異性から手紙を貰って困惑するけど顔も知らない相手にいきなりアプローチされて怖い。

 私は彼のことが好きじゃなくどう断ればいいのか頭を使いすぎて煙が出そう。

「はぁわわぁあぁぁぁ……」

「大丈夫かアリス?」

 もう頭の中で真っ白になっていて訳がわからなかった。

「う、うん大丈夫帰ろうケンにぃ……」

 帰宅し夕飯を作るが玉ねぎを細かくしたら指を切ってしまい。肉を焼き過ぎて真っ黒の塊になってしまったり。ソース作りがしょっぱ過ぎてしまって大失敗をやらかしてしまった。結果夕飯はインスタントラーメンになってしまう。

「ごめんね。ケンにぃ」

「大丈夫、大丈夫。失敗はよくあるから。それより指は平気か?」

「うん。ありがとう大丈夫」

 ケガをして夕飯はこんな風になってしまったのにケンにぃは優しいな……。

 それより告白はどうやって断わればいいんだろう。

「ケンにぃ……。ケンにぃは女の子から告白されたことある?」

「ん!? ゲホ、ゴホ、ゴホ……」

 麺を食べているときむせてしまった。

「え、あわわ。ごめん!」

 慌てて水を持っていき。ケンは一気に飲み干した。

「ゴホ、ゴホ……あ、死ぬかと思った」

「ごめんね変なこと言っちゃって」

「大丈夫、大丈夫。それより告白されたことは一度もないな」

「あ、そうなんだ……」

 それを聞いてなんでか分からないけど安心した。

「告白って手紙のことか?」

「うん。断ろうと思っているんだけど、相手を傷つけないようにしたいと思っているんだけどなかなか……」

「そっか……。素直にごめんなさいとかでいいんじゃないかな」

「素直で……」

 やっぱり素直に断った方がいいかな。

「ありがとうケンにぃ」

「あぁ頑張れよ」

 アリスは急いで食べてその日は寝た。


 次の放課後。

 指定してある場所に着くと一人の男子生徒が立っていた。

「こんにちはアリスさん。手紙読んでくれてありがとう」

「い、いえ」

 見た目は顔立ちが整っていて皆んながカッコいいとわかるぐらい雰囲気が爽やかな感じだった。

「それで返事は……」

 私は頭を思いっきり下げた。

「手紙ありがとうございます。でも、ごめんなさい!」

「え、あ、いや。そうなんだ……」

 先輩はたじろいでいた。

「もしかしていつも一緒にいるのって彼氏とかかな」

 いつも一緒に? 多分ケンの事だと思う。

「いえ、ケンはホームステイで住まわせて貰っている親戚で家族です」

「そう、なんだ、家族か。ありがとう返事してくれて」

「いえ、こちらこそごめんなさい」

 先輩はその場を去っていった。

 心のモヤモヤが解消されていった。ありがとうケンにぃ。


 ◇


 屋上で三人密集しているお菓子をボリボリ食べていると、もう一人のサイドポニテの女子がスマホをイジっていた。

「ねえ、マホ何か面白い事ない?」

 空を見上げているブラウン色の女子がただ唸っていた。

「別に……。うん?」

 視線を下に下げると男女二人が一緒にいた。

「告白とかないわ」

 マホが喋ると残り二人も一緒に見ていた。

「うわ、本当だわ。それに見てみてウチらと同じ学園の銀髪ちゃんに高本先輩だよ」

「マジ最悪。高本先輩狙ってたのにマジ最悪なんだけど。銀髪ちゃん空気読めなくね」

「それな」

 するとマホはニヤッと笑った。

「だったらこれから

 

 

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