第8話:重騎士のパーティは、苦戦する<旧パーティ視点>
◼️旧パーティ視点◼️
◆◇◆◇◆
「おいおい! お前らホントにAランク認定受けたのかよっ!?」
ドグラス達のパーティに新規参加したAランク剣士のスカイアードは、イラついた声を出した。
ダンジョンの奥に棲むA難度の魔物、キングリザードを前にして、パーティは防戦一方であった。
キングリザードは全身を鱗に覆われ、大きな爪と大きな羽を持つ、でっかいトカゲの魔物だ。
トカゲ系では最強の力を持っている。
「受けたさ!」
「じゃあ何か、イカサマでもやったんだろ!」
「やってねぇ!!」
ドグラスの返答に、スカイアードは呆れたような顔をした。
「急成長した新進気鋭のパーティだって言うから、俺は喜んで参加したのに。ここに来るまでにB難度の敵にも苦戦してたから、おかしいとは思ったんだが……お前らの攻撃はキングリザードにまったく歯が立たねぇじゃねぇか! 連携もバラバラだし!」
「くそっ! せっかく新しい武器を手に入れたのに! これは何かの間違いだ!」
「ねぇ、ドグラス。せっかく邪魔なアディを追い出して、マリリアットにドグラスのカッコいいところを見せようとしてたのに、予定が狂っちゃったな」
ひそひそと話しかけるフォスターに、ドグラスも抑えた声で答える。
「黙れ、フォスター! マリリンに聞こえるだろうが! ちょっと調子が出なかっただけだ。今からいいとこ見せるからよ、マリリンはきっと俺に惚れるぜ」
「おいお前ら! 何をぶつぶつ言ってるんだ!? 早く攻撃しろよっ!」
更にイラついた声を上げたスカイアードに向かって、ドグラスは吐き捨てるように叫ぶ。
「よーく見とけよ、オッサン!」
ドグラスは真新しいサーベルを振りかざし、ダッシュで魔物に飛びかかる。
そして大トカゲの腕に斬りかかる!
しかしそのサーベルはキングリザードが振り上げた腕に跳ね飛ばされた。
鱗に覆われた腕には傷を付けることもできない。
サーベルを跳ね飛ばされた勢いでドグラスは後ろに吹っ飛び、地面に打ちつけられた。
「うぐっ……」
全身を地面に強打して、ドグラスは動けない。
黒魔術師のフォスターがマジックワンドを振りかざす。
「くそったれ、ファイアード!」
炎系の上級魔法を詠唱した。
ワンドの先から細い炎の柱がキングリザードに向かってほとばしる!
しかしキングリザードは口を開いて、そこから大きな炎を吐いた。
熱風がフォスターに迫り来る。
リザードの炎はフォスターが発した炎を軽く吹き飛ばして、彼の身体を包み込む。
「ギャァァア! 助けてマリリアット!」
フォスターは全身を焼かれ、地面に転がり炎を消そうとする。
しかし辺りには、焦げ臭い匂いが立ち込めた。
フォスターは身体中に大きな火傷を負っている。
「おい、白魔術師の姉ちゃん! 早く二人を回復させろっ!」
「は、はいですっ! ケアード!」
マリリアットがロッドを力強く振り、治癒魔法を詠唱。
ロッド先から白い光が発して、フォスターを包んだ。
「おい姉ちゃん! あっちもだ!」
「は、はいですっ! ケアード!」
マリリアットは再びロッドを振る。
今度はドグラスを白い光が包み込んだ。
フォスターとドグラスは、マリリアットの治癒魔法を受けて、何とかフラフラと立ち上がる。
「おいおい、白魔術師の姉ちゃんよ! あんたの治癒魔法は、全員同時に全回復するんじゃなかったのかよっ!?」
「は、はい。昨日までは、できたんですけど……」
「ホントかよ? 今は一人ずつ、半回復しかできてないだろがっ!」
「そ……そんなこと、言われても……」
マリリアットは泣き出しそうになっている。
「泣いてる場合か! このままじゃ、お前ら全員死んじまうぞ!」
薄暗いダンジョンの中、スカイアードのイラついた叫び声が、壁に天井に反響した。
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