鬼ヶ島へ旅立った桃太郎が異世界転移後に犬キメラドラゴンの獣人の女の子を仲間にして勘違いしたまま魔王を討伐していくお話

狐沢コン蔵

鬼ヶ島へ旅立った桃太郎が異世界転移後に犬キメラドラゴンの獣人の女の子を仲間にして勘違いしたまま魔王を討伐していくお話 序

◆原作「桃太郎(楠山正雄氏)」 二次創作作品

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―――むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。

毎日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。


ある日のこと、おばあさんが川のそばで洗濯をしていますと、川上から大きな桃が一つ、

どんぶらこっこ すっこっこ

どんぶらこっこ すっこっこ


と、流れてきました。

「おんやまあ、これはみごとな桃だこと。おじいさんへのお土産に、どうれどうれ、おうちに持って帰りましょうかねぇ」


おばあさんは、そう言いながら、腰をかがめて桃を取ろうとしましたが、遠くて手がとどきません。

おばあさんはそこで、



「あっちの水はかあらいぞ。

 こっちの水はああまいぞ。

 かあらい水はよけてこい。

 ああまい水によってこい。」



と歌いながら、手をたたきました。すると桃はまた、

「ドンブラコッコ、スッコッコ。

 ドンブラコッコ、スッコッコ。」


といいながら、おばあさんの前へ流れてきました。おばあさんはニコニコしながら、


「早くおじいさんと二人で分けて食べましょう。」


 と言って、桃をひろい上げて、洗濯物といっしょにたらいの中に入いれて、えっちら、おっちら、かかえておうちへ帰りました。


 夕方になってやっと、おじいさんは山からしばを背負って帰って来きました。


「おばあさん、今帰かえったよ。」


「おや、おじいさん、おかいんなさい。待っていましたよ。さあ、早はやくお上がんなさい。いいものを上げますから。」


「それはありがたいな。何なんだね、そのいいものというのは。」



 こういいながら、おじいさんはわらじをぬいで、上に上がりました。その間に、おばあさんは戸棚の中からさっきの桃を重おもそうにかかえて来きて、


「ほら、ごらんなさいこの桃を。」


 と言いいました。


「ほほう、これはこれは。どこからこんなみごとな桃を買って来た。」


「いいえ、買って来きたのではありません。今日川で拾って来きたのですよ。」


「え、なに、川で拾って来きた。それはいよいよめずらしい。」


 こうおじいさんは言いいながら、桃ももを両手りょうてにのせて、ためつ、すがめつ、ながめていますと、だしぬけに、桃ももはぽんと中から二つに割われて、


「おぎゃあ、おぎゃあ。」


 と勇いさましいうぶ声こえを上あげながら、かわいらしい赤さんが元気げんきよくとび出だしました。


「おやおや、まあ。」


 おじいさんも、おばあさんも、びっくりして、二人りいっしょに声を立たてました。


「まあまあ、わたしたちが、へいぜい、どうかして子供こどもが一人ひとりほしい、ほしいと言いっていたものだから、きっと神さまがこの子をさずけて下くださったにちがいない。」


 おじいさんも、おばあさんも、うれしがって、こう言いいました。


 そこであわてておじいさんがお湯をわかすやら、おばあさんがむつきをそろえるやら、大さわぎをして、赤あかさんを抱だき上あげて、うぶ湯ゆをつかわせました。するといきなり、


「うん。」


 と言いいながら、赤あかさんは抱だいているおばあさんの手をはねのけました。


「おやおや、何なんという元気げんきのいい子だろう。」


 おじいさんとおばあさんは、こう言って顔を見合みあわせながら、「あッは、あッは。」とおもしろそうに笑いました。


 そして桃ももの中から生うまれた子だというので、この子に桃太郎という名をつけました。



◇◇◇◇◇


 おじいさんとおばあさんは、それはそれはだいじにして桃太郎を育てました。


桃太郎はだんだん成長するにつれて、あたりまえの子供にくらべては、ずっと体も大きいし、力がばかに強くって、すもうをとっても近所の村じゅうで、かなうものは一人もないくらいでしたが、そのくせ気だてはごくやさしくって、おじいさんとおばあさんによく孝行をしました。



 桃太郎は十五になりました。



 もうそのじぶんには、日本の国中で、桃太郎ほど強いものはないようになりました。

桃太郎はどこか外国へ出かけて、腕うでいっぱい、力だめしをしてみたくなりました。



 するとそのころ、ほうぼう外国の島々をめぐって帰って来た人があって、いろいろめずらしい、ふしぎなお話をした末に、



「もう何年も何年も船をこいで行くと、遠い遠い海のはてに、鬼が島という所ところがある。悪い鬼どもが、いかめしいくろがねのお城の中に住んで、ほうぼうの国からかすめ取とった貴い宝物を守っている。」


 と言いいました。


 桃太郎はこの話をきくと、その鬼が島へ行ってみたくって、もう居ても立ってもいられなくなりました。そこでうちへ帰るとさっそく、おじいさんの前へ出て、


「どうぞ、わたくしにしばらくおひまを下ください。」


 と言いいました。

 おじいさんはびっくりして、


「お前どこへ行くのだ。」

 と聞ききました。



「鬼が島へ鬼せいばつに行こうと思います。」

 と桃太郎ももたろうはこたえました。


「ほう、それはいさましいことだ。じゃあ行っておいで。」

 とおじいさんは言いいました。


「まあ、そんな遠方へ行くのでは、さぞおなかがおすきだろう。よしよし、おべんとうをこしらえて上あげましょう。」

 とおばあさんも言いました。


 そこで、おじいさんとおばあさんは、お庭のまん中に、えんやら、えんやら、大きな臼うすを持もち出だして、おじいさんがきねを取ると、おばあさんはこねどりをして、

「ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。ぺんたらこっこ、ぺんたらこっこ。」

 と、おべんとうのきびだんごをつきはじめました。



 きびだんごがうまそうにでき上がると、桃太郎のしたくもすっかりでき上がりました。

 桃太郎はお侍の着るような陣羽織じんばおりを着て、刀を腰こしにさして、きびだんごの袋をぶら下さげました。そして桃の絵のかいてある軍扇《ぐんせん》を手に持もって、


「ではおとうさん、おかあさん、行ってまいります。」


 と言って、ていねいに頭あたまを下さげました。


「じゃあ、りっぱに鬼を退治してくるがいい。」

 とおじいさんは言いいました。


「気をつけて、けがをしないようにおしよ。」

 とおばあさんも言いいました。


「なに、大丈夫です、日本一のきびだんごを持っているから。」と桃太郎は言って、


「では、ごきげんよう。」


 と元気な声をのこして、出ていきました。おじいさんとおばあさんは、門の外に立って、いつまでも、いつまでも見送っていました。




◇◇◇◇◇



桃太郎はずんずん行きますと、あたりがいきなりまっ暗になりました。さっきまでお日様がニコニコと照っていたのに、おかしいなあと首をかしげました。



桃太郎があたりを見まわすと、そこはいつの間にかふかい森の中でした。

「誰か、誰か…」と声がしました。

そちらにいくと、草むらの中に犬のような耳と尻尾をしたおんなの子がいました。


「やいやい、へんな姿のきみは鬼のお供なのか」

桃太郎はたずねました。


「きゃっ!?だれ!?…え、お、オーガ…? 私は見ての通りのただの獣人じゅうじんですが…それより…!


よく見ると、犬のおんなの子のまわりには、大きなナタやキラリと光る小刀こがたなをもったごろつき・・・・がいました。


そこは盗賊の住処すみかでした。

へらへらと笑うごろつきたちに、いつの間にかおんなの子を背にしてかこまれていたのです。


「ほう…なかなかいい着物じゃねえか。そのハチマキといい着物といい…ほう、エルフの紋章に似てるなぁ。エルフの従者か?」


「えるふ?」

桃太郎は首をかしげます。


「ひひ、獣人の女といい、いい獲物が連れたなあお前達!」

「「「へっへっへっ…」」」


20人ばかりのごろつきたちは、それぞれに手にした小刀をほうりなげて遊んだり、なめまわしたりしていました。


「きみたちが鬼か。宝をたくさんの人にかえしてあげなさい」


「はあ?俺達がオーガだってえ?ハッ、俺達はオーガより恐ろしい盗賊団だぜ!」


「へえ。鬼よりも怖いなら、鬼退治のうでならしにちょうどいい。さあ来たまえ」

桃太郎は盗賊団のおかしらにいいました。


「はあ!?てめえぶっ殺されてえのか!?おいおめえら、やっちまうぞ!!」


「えい」

桃太郎はひと息でかぜのように走りぬけると、すぐに盗賊団のみんなの小刀が地面に落ちていました。


「え…?」

みんなが静かになった中で、犬のおんなの子の声だけが聞こえます。


「て、てめえええええええ!!」

にぎりこぶしを作ったおおかしらやごろつきたちが桃太郎に襲いかかってきましたが、


「とお」

またもひと息で風のように走りぬけた桃太郎によって、お頭以外のみんなが首の後ろをみね打ちされて気絶きぜつしたのでした。


「ヒィッ!?」


そしてすかさずおかしらを組みふせた桃太郎は、馬乗りにまたがって、

「どうだ、これで降参するんだな。」

 といって、ぎゅうぎゅう、ぎゅうぎゅう、首をしめました。


「ひ、ヒィッ!ぐるじ、こ、降参する!降参するから命だけは助けてくれ!!そうだ、た、宝を全てやる!た、l頼む!!」

こう言って、ゆるしてもらいました。



盗賊団の大将は、約束のとおり、オリハルコンの大剣だの、聖金貨20枚に金貨300枚だの、そのほかSR以上のスキルカード7枚などの、とうとい宝物を山のように荷車に積んで出しました。


「こ、これで許して、くく、くれるんでしょうか」

かしらが言うと、


「うん、そうだね」と言って、おかしらの頭を刀のみねでたたきました。

「グッ…!」

かしらは顔からたおれました。



「いやあ、鬼よりも怖い盗賊団よりも強いだなんて。やっぱり僕は日本一だ」

桃太郎はとっても上きげんです。


するとさっきの犬のおんなの子が声を掛けてきました。


「あ、あのぅ…その…助けていただいて、本当にありがとうございます!!」

「いいや、どうってことないさ」

桃太郎はどこか嬉しそうに胸をはりました。


「それで…その、お腰に下げたものは、何でしょうか…?不思議な香りが…」

「日本一のきびだんごさ。」


「に、にほ…?きび……?え、えと、は、はしたないと思われても仕方ありませんが…一つ、私に恵んではいただけませんか…?」

ぐぅ~と、犬のおんなの子のお腹が鳴りました。


「よし、よし。やるから、ついて来い。」


「ひゃうっ!?」

(俺について来い!? どどどどどうしよう男の人に、ここここ告白されちゃった!?ってむしろ求婚!?どどどうしよう私まだ14歳だしって14歳だとお嫁にいける年齢じゃない!?あわわわわわお父さんお母さんおばあちゃんおじいちゃんお兄ちゃん!わ、わたしお嫁に行っちゃいますううううう!!)


犬のおんなの子はきびだんごを一つもらって、食べました。

「お、お、おいしいいいいいいいいいい!!!!もっちもちいいいい!!」

目をキラキラさせておんなの子は叫びました。


犬のおんなの子はきびだんごを食べて力がいたのか、全身が鉄のようにかたく、弓のようにしなやかになりました。

「こ、これは…!?」


◆ステータス

【名前】アリア

【職業】獣人

【レベル】65

【H P】3046

【M P】970

【攻撃力】1587

【防御力】1003

【素早さ】2320

【知 力】889

【魔 術】なし

【スキル】なし


ただの村人だった犬のおんなの子は、きびだんごで百人力になりました。


「どうだ、ついて来る気になったか。」


「一生ついていきますぅ…」

「よし、よし。」



テクテクという二人の足音といっしょに、ゴロゴロという荷車にぐるまの音が森へとこだまします。




桃太郎がまおうをたいじするものがたりは、まだはじまったばかりです。


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ご覧いただきありがとうございます!狐沢ニャン蔵です。


とりあえず脳味噌にぴしゃーんと来た謎のアイディアをそのまま投稿してみましたが、いかがでしたでしょうか。

本作品は試験的に投稿したもので、続きを書くか書かないかは評価やご感想次第で…という形式になっています。


もし皆さんから「称える」や「レビュー」をいただけるのでしたら、気合で毎日投稿するような超大作に仕上げていきたいと考えています。


ぜひ、「称える」や「レビュー」を下さい!お待ちしています><

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