第3話 管制室

 謎の声に案内され、コロニーの管制室に向かう。

 入り口からまっすぐ歩いて、20分ぐらいだそうだ。

 所々にカメラやスピーカーらしきものが確認できる。

 あそこから俺のことを見てるのだろうか。


 折り返し地点を過ぎた時、謎の声の主から話しかけられた。


「こういったことに耐性があるのですか?」

「耐性?」

 近くにマイクはないが、どこかで声をひろってるのだろう。

 

「未知のテクノロジーと接した時、人は驚いたり現実逃避をする、と認識していたので。あなたも最初こそは驚いていましたが、今は落ち着いています」

「落ち着いているというか、驚きすぎて冷静になっているよ」

「そうですか」

 俺は投げやりに応えた。


「もう一つお尋ねします。入り口であなたは『開けゴマ』をと言いました。あなたは地球の住民ですか?」

「俺はこの世界、というか星か、エスティバの住民だよ。でも、俺は地球からの異世界転生者なんだ。だから前の世界、地球に住んでた記憶や言葉がわかる」

「ほう、あの地球に住んでいたのですか。それはとても興味深い」


 今までシステム的な感じだったが、若干声がはずんでいる気がする。

 

 あと、どうして地球のことを知っているのだろう。


「こっちから質問。どうして地球のことを知っているんだ? この施設よりもそっちのほうが気になるんだけど」

「それもそうですね。ですが詳しい話は管制室に着いてからで」

 

 はいはい、続きは管制室に着いてからね。

 管制室に着く前に、質問したいことでも考えておくか。



 それから約10分後、管制室にたどり着いた。

 管制室の扉は、ザ・宇宙基地って感じの自動ドアだ。


「管制室にようこそ、あなたが初めての訪問者です」

 

 自動ドアが開いた。



 うおおぉ。

 思わず驚きの声が上がる。

 映画で見たことあるような、宇宙基地みたいな管制室だ。

 大きなモニターがあって、ところどころに机と椅子がある。

 あとは別の部屋に通じるドアもあるな。

 あれ、それ以外の設備とかないんだ。


「どうでしょうか、この管制室は?」

「映画で見たことあるような管制室だけど、すごいな」

「それはそうですよ。なぜならこの管制室は、地球で作られた映画を参考にして作られたモノですから」

「地球の映画を参考にした?」

「ええ、そうです。なぜ地球のことを知っているのか、そしてなぜこの星にやって来たのか、その理由を説明しましょう」

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