第19話 滋賀県近江八幡市 5

 さて、私は自称羽柴秀次のゴーストに連れられ、ジュリエットと共に近江八幡市内を北上する。

 尚、移動中の会話でジュリエットというのがマジでロミオとジュリエットから由来している名前だと判明した。

 こいつの家は的確に男女逆にする呪いでもかかっているのだろうか?

 そんなことを思いながら、近江八幡市北部にある湖畔にきて……


「っ!」


 私は息をのむ。

「ははは、驚くよなぁ、これはよぉ」

 むかつく物言いで羽柴秀次のゴーストはいうが、確かに私が驚いたのは事実だ。なぜならば……

「……グ」

 そこには、絶対がいた。

 巨大なドラゴン。琵琶湖の湖上に、とぐろを巻いてうなっていた。

 のっそりとした肉体は、ふてぶてしいまでにでかい。

 そう、でかいのだ。

「グルルルル」

 ドラゴンは威嚇する。蛇のような細長い形の巨体に、悪魔のような角。そしてコウモリのような翼。

 西洋の竜と東洋の龍の合いの子のような格好だ。

 見事である。

 まさしく、ドラゴンなのだ。

 すると、ジュリエットが私にオブラートに包まれた緑色の球形のものを渡す。

「飲み込め、ドラゴンの言葉がわかる薬だ」

「ほう……」

 なんとまぁ、漫画に出てくるこんにゃくのような丸薬ではないか。

 私は少しのワクワクと共に、その薬を飲み込む。

 すぐだった。


「んもー、せっかく今養殖してるのにー、ひどくない秀次ちゃん! なーんで呼ぶの?」


 おかま口調で、ドラゴンがしゃべっていた。

 唖然とした。

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