第18話 滋賀県近江八幡市 4

 羽柴秀次、それは少しばかり歴史に詳しい人ならば聞いたことがある名前であろう。

 豊臣秀吉の甥にして後継者、しかしながら豊臣秀頼が生まれると自害にまで追い込まれた人物。

「のゴーストが俺だぜ」

 ……マジか。

「あー、ここが近江八幡だからな」

 私はこの地を思い出し、納得した。

「納得してくれたか」

 偉そうに自称羽柴秀次のゴーストは、私の周囲をぷかぷか浮きながらあおる様に舞う。

 ウザイ。

「なんだ、有名なのか?」

 そして、きょとんとしたジュリエットが問いかける。

「まぁ、この国の歴史に詳しい奴なら大体知ってる有名人だ」

 なるほど、無念の死という物はこのようにマナを取り入れた人を幽霊に変えるのか、などと思いながら妙に派手な格好をした羽柴秀次を見る。

「んで、確かドラゴンに用があったんだな?」

 羽柴秀次のゴーストがそのように言う。

「ああ、そうだ。琵琶湖でどのように生きているのか、話を聞いてみたい」

 それを聞くと、羽柴秀次は不敵に笑う。

「了解、なら案内してやるよ」

 なんだろうか、この妙な自信というかふてぶてしさは。

 ……まさか琵琶湖のドラゴンが豊臣秀吉とかないよな?

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