第14話 埼玉県さいたま市 9
さて、これで割かしいろいろな情報が集まった。
そもそも、エルフとは甘みを好む、というよりも発情期のスイッチとして用いていること、エルフ独特の肉食文化。
なぜ今までこれらの奇怪な文化が研究されなかったか考えるに、やはり予算の問題が多いのだろう。大学に割り振られた予算はほとんどすべて異世界からもたらされた物事の分析に用いられていると聞く。
だからこそ、国家元首そのものが私にこのような仕事を依頼したのだろう。
「ふむ、大五郎。感謝する」
私は食べ放題二人前の金を払い、大五郎に礼をする。
「いやいや、私こそご飯食べさせてもらえて御の字です」
そういいながら、大五郎は焼き肉屋からもらったガムをかむ。爽やかなハーブの香り立つ。
さて、次はどこかに行こうと思うのだが……
「もしよければ、同じくこの日本に土着している異世界の友人を紹介してもらえないか?」
そういうと、大五郎はにっこり笑って答えるのだった。
「なら、琵琶湖に私の友達のドラゴンがいるです」
「ほう、琵琶湖……か」
エルフの次はドラゴン。
そして、それが今の日本において普通の状態となっている。
何とも奇怪な状態であろうか、そう思いながらもう一度大五郎に礼をするのであった。
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