第13話 埼玉県さいたま市 8

「ん? なんかそこまで驚いてないのです?」

 大五郎はハラミを食いながら私を見る。

「いや、果物があるのならばその時期に発情してしまえばいいのだからな。要するに、手軽に発情できるスイッチがあれば栄養を赤子に分け与える……ということだと推測したが、どうだ?」

 何というか、気候変動で滅びる生物たちがうらやみそうな便利な機能だ。

「まー、多分そうです」

 ちなみに、さっきより大五郎の食べるペースが上がってる。

「……発情期になる、といたが大丈夫なのか?」

 発情期、それは大半の生物からするといろいろとあらがえないものだ。

 だが、大五郎はあっけからんという。

「一応男も女も、エルフはホルモンをたべれば発情期が収まりますです」

「な、なんて便利な……」

 だから大五郎はさっきからホルモンをたべているのだと納得した。

 私が苦笑いしていると、大五郎はさらっとすごいことを言った。




「そのおかげでエルフの間でせんじがらがブームなんです」



「広島名物がっ!?」

 素で驚いてしまった。

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