第9話 埼玉県さいたま市 4
私の素っ頓狂な声を聴いて大五郎(エルフの女)は目を見開く。
「何驚いてるんです?」
私は自分が食ってるハラミを飲み込んで言う。
「何故エルフの女は内臓しか食べちゃダメなんだ?」
なんというか、肉食菌糸の文化があれど内臓だけ食べる分か、というのが驚きだ。
「そりゃだって、ですねぇ?」
そういいながら大五郎は下腹部を指さす。
「膀胱?」
私が小首をかしげると、大五郎はがっくりとした。
「違うです」
大五郎はクルクルと指を回して言う。
「子宮です子宮。男にとって一番大事なのは筋肉、女にとって一番大事なのは子宮です」
「お、おう」
まさか焼肉で子宮の話が出るとは思わなかった。
「女は股から血が出ます。だから肝臓をたべて血を湧き立たせます。そして子供を産みますので内臓にマナをためるために内臓をたべます」
「ふむふむ」
マナ、それは異世界からもたらされた概念だ。彼らの世界がこの世界に重なったように見える中、この現象はたちまち人々に理解された。要するに、これまで私たちが気脈や地脈と言っていたものが実際にあった、というのが証明されたのだから。
「一方男は戦うです。だから筋肉をたべます。そして肉にマナをためて戦うのです」
「中国の医食同源に近いな」
意外とエルフの社会は男女の役割が分かれているのか、そんなことを思いながら私はバラをたべる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます