第8話 埼玉県さいたま市 3

「やはり牛のミノは美味いです」

 ……何だろう、テレビのCMとかで見るエルフのイメージが粉々に砕けた。

 今私は大宮駅前の焼き肉屋にいるのだが、このエルフはひたすらホルモンをたべるのだ。

 このエルフ、名前を大五郎というそうだ。どうやら、この日本と異世界が溶け合ってから産まれたエルフであり、両親が好きな漫画、即ち子連れ狼から名前をとられたらしい。

 ……そして、エルフ目線から見るとあの漫画の大五郎というのは雌に見えるらしい。というか、人間の赤ん坊が全体的にエルフからしたら雌らしい見た目をしている、というのがある意味一番の驚きであった。

「俊太さん、お替りしないのです?」

 大五郎、というエルフの概念に喧嘩を売っているであろうこのナマモノはひたすらに内臓をたべる。

 ミノ、シマチョウ、テッチャン、その他ホルモンをもしゃもしゃと食っている。

「ホルモン、好きなのか?」

 肝心かなめの質問、即ちなぜエルフはお菓子やでバイトしているのが多いのか、を聞くために連れ込んだはずなのに、ひたすらにホルモンを食う図を見せつけられているのか。

 すると、大五郎はすごいことを言い出した。


「そもそもエルフの女は肉は内臓しか食べちゃダメですし」


「……は?」

 思わず素っ頓狂な声が出た。

 なんだ、それ?


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