第5話 東京都千代田区 5

「では、受けてくれるのかい?」

 大河内はそのように私に言った。一国の首相がこのように私に対して腰が低いというのは、何とも痛快だ。

「ああ、受けよう。私の旅をもって、新しい風土記を作れ、そういうことだろう?」

 大河内はコクリとうなずいた。

「ならいこう。期限は?」

 私の問いに、すぐに大河内は答えた。

「限りなく、だ。できる限りやってもらいたい、無理だと思ったらすぐに私まで連絡してくれ」

 なるほど、確かにこいつはハードだ。

「了解した。では行ってみるとしよう」

 とりあえず首相官邸から出ると同時に荷物を返してもらう。

 さて、最寄り駅は溜池山王駅。

 どこに行ってみるか……

 どうしてみようか……

 そんなことを考えながら、東京メトロの駅に向かうのであった。

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