第4話 東京都千代田区 4
「そもそも、戦後一貫として日本における異世界の影響という物は調査されず、放置されてました」
「まぁ、確かに異世界からもたらされた技術などは研究されていても、異世界の文化についてはあまり研究が進んでないな……」
首相の話を聞いて、本屋の本棚を思い出す。
確かに、エルフの魔法を習得する方法や、ドワーフのおすすめクッキングの本があったとしても、枯れたの文化について調べた本はあまりない。
「もっというと、民間から見たもの……遠野物語チックなものはないのですよ」
「ほぉ」
ここで日本の民俗学の名著を上げるか……大きく出たな。
柳田國男と佐々木喜善が作り上げた傑作。
よく寝物語に祖母が語ったのを思い出す。
「それの現代版、否、現実となった存在と如何に日本人が付き合っているか、その記録を官主導で作りたいのですよ」
大河内はそういった。
「民業圧迫では?」
私はつい肩をすくめてそういった。
すると、大河内は肩を落として言う。
「非常に残念なことに、民間は異世界から常に入る技術にしか目が言っていない。なぜ異世界と日本が軋まずに存在しているか、それを文化の目線から見ることは誰もしてない。そんなことをやっている暇がないのだ」
なるほど、確かに大学も他国から異世界のもたらすものを奪われる前に吸い尽くせと必死だ。
そうなると、国がもしものためにそういったのを主導するのも納得だ。
「……で、私に白羽の矢が当たったと」
「いかにも」
大河内の言葉を聞いて、私は少し面白く思った。
「ふむ、ではどんなことをやってほしいのか聞いてみましょうかね。興味がわいた」
私は、生まれて初めて上から目線で言われたことが面白いと感じた。
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