第2話 東京都千代田区 2

 ファンです、といきなりこの国のトップに言われて私はきょとんとしていた。

 すると、大河内も私の戸惑いを察したのだろう。

「これは失礼、私はあなたのブログのファンでしてね……つい舞い上がりました」

「はぁ……」

 なるほど、この男、見た目に寄らず私のブログのファンだったのか。殊勝な男だ。

 しかしながら、まさか一ファンから国家権力で拉致られるとは思わなかった。

「さて、それでは本題に入りましょう」

「あ、なんだ……ただファンであるから連行したわけではない、と」

 私がそういうと、大河内はきょとんとした顔で言った。

「いや、さすがに国家権力者が私情で国民を強制連行したら人権侵害ですよ。私は、貴方にしか頼めない仕事を頼みたくて来たのです」

 そういうと、大河内はトランクをどんと置く。


「まずは前金1000万、これをお渡しするので歴史的な仕事をあなたにやってもらいたい」


「……1000万!?」

 なんだと……いきなりどんと大金が飛んできた。

 何を任せるというのだ?

 私が身構えると、大河内は静かに告げた。

「日本の津々浦々、異世界が如何にこの国の文化に根付いているのか、或いは反発しているのか、それを調べて風土記を作ってほしいのです」

「……はぁ」

 なんと、いきなり脳が理解を拒みそうな計画が出てきたぞ?

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