第4話

 深大寺の階段を下りて、蕎麦屋に行った。


「今日、本当に暑いね!」

「確かに。暑いね」


 お昼の時間、太陽の力は強まって暑さが増した。僕らは、互いに違うものを選んだ。いくら好きでも、食事の好みは分かれる。

 美波の頼んだものがきて、その次に僕のも来た。


「「いただきます!」」


 声を揃えて食べ始める。二人で食べる蕎麦は本当に美味しい。


 ご飯を食べてそろそろ帰ろうということになったとき、最後にツーショットを撮りたくて、近くで休んでいた人に声をかける。


「すみません。二人で写真を撮りたいんですけど。いいですか?」


 声をかけた人に撮ってもらって、今日はこれで終わりにした。




 バスに乗って三鷹駅に戻ってきた。帰りの電車の中、美波は疲れていたみたいで僕の肩に頭を寄せて気持ちよさそうに寝ている。彼女を起こさないように、そっとバッグからカメラを取り出した。

 SDカードの中を見ると、彼女の色々な表情が写っている。どれも、明るくて可愛らしい笑顔だ。


 新宿に着いて、彼女を起こす。目覚めはあまりよくなくて、ボーっとしてしまっている。


「おはよ、ゆづ」

「おはよう。よく寝てたね」

「えへ、すごく眠かった」


 美波が使う路線の改札まで送っていった。


「ゆづ、ありがとう! 今日はすごく楽しかった!」

「こちらこそ。また、デートしようね」

「うん! じゃあね!」

「おう。バイバイ!」


 笑顔で手を振りながら改札を抜けた美波を、僕は心の中にあるカメラに収めた。



 今日一日を通して。僕がずっと“恋”している彼女をたくさん“写真”におさめて、またひとつ思い出が増えた。

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恋写真 櫻葉ゆう @arayu_0123

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