第3話

「この後は、深大寺に行ってそこでお昼でも食べようか」

「あ、いいね! 確か、お蕎麦が美味しいんだよね!」


 時刻は丁度お昼の12時。僕は、歩きながらカメラに保存された写真を眺めた。


「何見てるの?」


 そう言って、また美波は可愛らしくカメラを覗いた。


「ん? 美波が可愛いなーって」

「んふふ」


 美波は、照れて顔を両手で隠した。


「ほら、行くぞ」


 顔を隠す手を取って、男らしく美波の手を引いた。

 僕は、本当に幸せ者だ。



 植物公園の中をゆっくり歩いて、僕らは深大寺に向かった。

 深大寺に着いて、まず参拝した。十円玉を投げてそれぞれお願いする。

 僕は何をお願いするかなんて、そんなの既に決まっていた。


「ゆづ、何お願いしたの?」

「ん? 内緒」


 はにかんで僕は秘密にする。


「えー、教えてくれたっていいじゃん」


 美波は、また得意げに可愛くいじける。


「じゃあ、美波が先に言ってよ。そしたら、僕も言ってあげるから」

「えー……。んとー、ゆづとずっと一緒にいられますようにって」

「えっ?」

「えっなに? ダメ、だった?」


 まさか、同じことをお願いしていたなんて……。

 嬉しすぎて驚いた。


「ダメじゃない。美波、僕も同じだよ。同じことお願いした」

「えっ本当に?」

「うん!」


 僕らはどちらからともなく手を繋いだ。

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