第15話ゴブリン殲滅
アベルを名乗るエルフの女性はレイピアを抜き放つと緑の小人めがけて突撃した。するどいレイピアの切っ先は吸い込まれるように敵の胸元に突きささった。赤黒い血液を撒き散らしながら絶命する。
見事な剣技であった。
木の枝に残るカインというエルフも確実に緑の小人を射殺していく。彼の弓技もすさまじいといえた。
「やるねえ」
零子が感嘆の声をもらす。
彼女もまた一匹、一匹と確実に葬っていく。
肩で息をしている。
流れる汗がとまらない。
疲労がたまってきていた。
空美がかけより、零子の背中に手をあてる。
うっすらと暖かい手の温もりをを感じる。
彼女の治癒能力により、疲労が回復する。
「ありがとう、空美」
「いえ、どういたしまして」
空美が愛らしい顔に笑顔を浮かべてこたえる。
「こいつで最後だ‼️」
そういうと竜馬が最後の一匹である弓を持つ緑の小人の脳天めがけて鬼包丁を振り下ろす。
鬼包丁は緑の小人の脳天に突き刺さる。
敵の肩に足を起き、両手で引き抜く。
緑の小人は脳漿と血液を撒き散らし、いきたえた。
森にはゴブリンたちの死体で埋め尽くされていた。
緑の
天王寺春香に「森の統治者」「小人の支配者」の称号が与えられました。
ドロップアイテム「錆びたナイフ」「ゴブリンの骨」「不揃いの宝石」「革の布地」をアイテムボックスに送ります。
スマホに文字が流れていった。
木の枝からカインは飛び降りる。
華麗に着地するとカインは春香に頭をさげた。
横にアベルがたち、彼女も礼をとる。
「あらためてご挨拶をさせていただきます。私は森の一族の末裔カインと申します。こちらにひかえるのはアベルと申します」
とカインは言った。
「ありがとうございます、助かりました」
春香は礼をいう。
「おいおい、やっぱり本当にエルフだよ」
うれしそうに零子は言い、春香の首に抱きついた。
それをイライラしながら獅子雄は外す。
「エルフ……ですか。遠い遠い昔にそう呼ばれていたときいたことがあります」
アベルは言った。
かなりの戦闘をこなしたはずなのに彼女は汗一つながさず、涼しげな顔をしていた。
「あなたがたは僕たちのことを救世主の戦士といいましたね。それはどういう意味ですか?」
と海斗はきいた。
「それは私たちの一族に言い伝えがあるのです。我々一族が滅亡に瀕するときかつてこの大地を支配した者がふたたびこの地にあらわれると」
カインは言った。
「滅亡って……」
春香はさらにきく。
「そうです。森の一族は残るは私たちだけになってしまったのです」
カインはこたえる。
アベルは青い瞳で兄の顔をみる。
「ここではなんですから、私たちの家にご案内します。そこでゆっくりとお話しましょう」
アベルは言った。
カインとアベルの兄妹の案内で彼らの居住地にいくことになった。
「いやあ、生きてエルフに会えるとはおもわなかったな。あの耳さわったらおこられるかな」
竜馬がそう冗談を言う。
「ドワーフならもういるぞ」
零子が竜馬の無精髭の顔を見て茶化す。
「ひでえなあ、おい」
その様子を春香は笑ってみていた。
三十分ほど歩いただろうか。
うっそうとした森を抜け、開けた場所に到着した。
そこには石造りの蔦だらけの洋館が建っていた。
「着きました。あそこが我々の屋敷です。かなり古いですが、どうぞ体を休めてください」
とカインは言った。
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