第7話ペトロ商会

 ベルゼブブの息子たちがいなくなり、安堵したのだろうか皆は床に座りこんだ。

 美穂と亜矢はお互いもたれあい、座っている。

 空美は海斗に肩をあずけ、座っていた。

「あー疲れた」

 肩で息をしながら零子は言った。

 春香だけはそれほどでもない。

「みんなどうしたんだい?」

「戦士たちがもつ武器は所有者の生命力を力に変えて能力を発揮するからね、戦闘の後はそれなりに疲労はたまるまんだよ。今、ここは安全地帯になってるからね、しばらく休むといいよ。それよりもスマホを見てごらん、新しい機能が追加されてるはずだよ」

 ディスマにいわれるまま、スマホの画面を見るとそこには《ペトロ商会が使えるようになりました》というメッセージがかかれていた。

 コインのようなデザインのアイコンをタップすると空中に半透明の人物があらわれた。


 燕尾服に身を包んだ細身の老人であった。片眼鏡に鷲鼻、長い銀髪を首の後ろでくくっている。

 その老人はうやうやしくお辞儀をした。

「わたくしはペトロ商会会長シモン・ペトロと申します。以後お見知りおきを。新しき王となられるお方、我が商会ではお代をいただければいかなるものもご用意いたします。よしなにご贔屓に……」

そう言うと老人はスマホの中に消えてしまった。


「ペトロ商会では通貨としてジューダス・ペインを使えるよ。画面にあるJPがそれだね。ベルゼブブの息子を倒したから8000JPを獲得しているね。皆の武器に振り分けてみるといいよ」

 画面をよく見るとそこにはそれぞれの顔の画像が並んでいた。それぞれに1000JP振り分ける。


 武器が進化しました。

 称号を得ました。

 固有特技ユニークルスキルを覚えました。

 画面に電子音とともに文字が流れる。


 貝塚獅子雄

 称号「騎士」

 武器名豹の剣

 固有特技「突撃」


 難波零子

 称号「銃士」

 武器名魔銃フェンリル

 固有特技「狙撃」


 岸和田美穂

 称号「剣士」

 武器名菊一文字

 固有特技「抜刀術」


 鶴橋亜矢

 称号「弓士」

 武器名神木の弓

 固有特技「連射」


 岬海斗

 称号「魔術士」

 武器名烏の杖

 固有特技「火竜」


 岬空美

 称号「治癒士」

 武器名クレオパトラの首飾り

 固有特技「祈り」


 住吉竜馬

 称号「厨士」

 武器名鬼包丁

 固有特技「調理」


「おいおい、俺の特技が調理ってなんだよ。もう完全に俺だけ調理師じゃないか」

 画面をのぞきこみ、竜馬が言った。

 クスリと春香は微笑んだ。


「フェンリルか、いいね。デザインも少しかわったね」

 じろじろと自身の白き魔銃を見ながら零子は言った。銃身に狼がデザインされていた。魔銃フェンリルを眺めながら一人悦に浸っている。

「あとね、ドロップアイテムもあるよ。今あるのは銀蝿の羽だね。これらは加工材料になってペトロ商会でアイテムを作成できるから、またJPがたまったらなにかつくってみるといいよ」

 ディスマはそう補足した。


「とりあえず、しばらく戦わなくていいんですね。私、少しだけどお菓子を持っているので、皆さん食べませんか」

 そう言い、空美はリュックからクッキーや飴を取り出し、全員に少しずつではあるが配っていった。

「あ、私もポテトチップスもってるよ」

 ポテトチップスの袋を亜矢はあけた。

「悪いな、学生さん」

 そう言い、竜馬はポテトチップスを数枚かじった。



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