第3話終末ゲーム

 鳴り止まないスマホを見て、春香は思わず画面をタップした。

 スマホの画面が光輝く。


 アプリの起動が確認できました。

 ユーザー登録天王寺春香。

 ナビゲーターとしてディスマを出現させます。


 画面上に文字が流れていく。



 次に春香の足元が輝き出した。

 淡い光に包まれて何者かが出現した。

 体長は50センチほどだろうか。

 白いウサギに似ている。

 額にはちいさな赤い角が生えていた。

 そのウサギのような生き物はぶるぶると身震いした。


「お、おい、今度はなんなんだ」

 あわてた様子で獅子雄は言った。

「よくわからないけど、急にスマホが鳴り出して、さわったら出てきたみたい」

 混乱する脳内をどうにか押さえ込み、春香は答えた。



「えっどうなってるの‼️」

 零子の腕にしがみついていた女子高生がかなきり声をあげる。

「ちょっと、静かにしてくれないか。耳がいたいじゃないか」

 鼓膜の痛みを覚えながら零子は言った。

 横で騒がれると自分が冷静になるのがわかった。

 今はパニックになってる時ではない。



「初めまして、僕の名前はディスマ。この終末ゲームのナビゲーターだよ。選らばれた戦士諸君、よろしくね」

 ウサギから発せられた声はかわいらしい少女のものだった。

「このままじゃあ、チュートリアルもままならないね。ちょっとまっててね」

 そういうとディスマを名乗るウサギもどきの小さな体が赤く光る。

 体に纏われた光が周囲に広がり、春香たちを囲む。

 すぐ近くまでせまっていた虫たちの行動がピタリと止まった。

 虫たちは彼ら春香たちを円状に囲み動きが止まっていた。

 どうやらこの赤い光の半円には入ってこれないようだ。


「ヤコブの血界を使ったからね。ベルゼブブの子供たちはしばらく入ってこれないよ」

 ウサギもどきは言った。


 とりあえずは安心していいのだろうか。周囲を見渡し、虫たちが動き出さない様子を見て、次に獅子雄の精悍な顔を春香は見た。

「どうやら、一安心と言ったところか」

 と獅子雄は言った。

「そうだね、まあ、この血界もそう長くはもたないけど君たちが準備するには十分な時間は稼げるよ」

 ディスマは答える。

「準備って、なんの」

 春香はきいた。

「終末ゲームのさ。リヴァイアサンゲームとも言うんだ。君たちは神様に選ばれたんだよ。神様はこの世界に飽きちゃったんだ。で、世界を一度滅ぼすことにしたんだ。でもね、神様は君たち人間に最後のチャンスを与えてくださったんだよ。これから7つのステージをクリアしてもらうよ。ステージをクリアするごとに自由にできるエリアが広がり、最終的に世界を再構築できるんだ。今現在はこの車内もままならない状態だよね」

 とディスマは説明する。

「ゲームってそんな無茶苦茶な。それにどうやってここを突破するってのさ」

 春香がウサギもどきに詰め寄る。


「もしかして、これをつかってか」

 という獅子雄の言葉に零子が続く。

「これを使えっていうのか」

 銀色に輝くクレイモアが獅子雄の手に握られていた。零子の手には白色のヴェレッタに似た銃が握られていた。






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