第2話

急いでエンゾウに連絡した。

しかしいくらコールしても繋がらない。

遅い時間だから寝てしまったのかもしれない。そう言い聞かせインターネットを開いた。サーフェイス・ウェブで一通り調べたが、めぼしい情報は全くなかった。

一通り調べ終えるころには太陽が昇っていた。


 「昨日どこに行ってたかって、それランにも言われたけど、エリザベスと一緒にいたよ。

何かあったのか」


 いや何でもない、ありがとう。と言って電話を切った。あの異様な光景を目撃したのは私だけでは無かったという不安と、自分だけがおかしくなってしまっていないという安心感があった。


 「ドロジア、あなたも見たのね、あの異様な光景を」

同窓会後の夜のニュースだよね。と返しながら、うなづいた。


 「ええ、どこからどう見てもエンゾウだったわよね。でも、エリザベスにしっかり裏もとったから確実よ。これから、二人でもう一度確認してみましょう。たぶん、図書館にあるはずよ」


 いざ図書館に行き、ニュースを見てみると、そもそも、そんなニュースはやっていなかった。駄目もとでネットでも調べたが結果は変わらなかった。


 何の成果も得られないまま数日が過ぎ、

藁にも縋る思いで、私たちは義母のライヒに助けを求めに孤児院を訪ねた。

すると、義母とフレディが出迎えてくれた。


 「いらっしゃい、ドロジアもランも元気そうで何よりだわ」


とロボットのような声で言った。このしゃべり方は昔から変わっていなくて安心した。

何気ない会話を交わし、今の生活や趣味の話もした。


「ドロジアずいぶん楽しそうじゃないか。義母にべったりだったから仕方ないか」


 とフレディはからかってきたので、そっちこそ母離れできていないんじゃないかとからかい返すと、フレディは顔を赤くした。

初恋の相手が義母だから仕方なくはあるが、それはそれでどうなのかとも思う……

義母と話すのは楽しかった。仲間と話すのももちろん楽しいが、義母には安心感がある。


 だが、楽しい時間はある一言で終わりを告げる。


 「私確かめたいことがあるの。だから、地球に行こうと思うのだけど、お母さんはどうおもうかしら?」


 義母の目の色、気配が変わる。


 「やめておきなさい。私が答えるのではふまんかしら?何が知りたいのか言ってごらんなさい」


 いつもの無機質な口調の中に、強い意志を感じた。地球には行かせない。そんな意志を。ランは動揺している様に見えた。その意志を感じたからだろう。それでもランは言った。


 「ニュースで地球にもう一人のエンゾウがいるのを見たのよ。それを確かめに行きたいの」


「帰りなさい。私に言えることは、それを知っても何の得もしないから止めることとしかいえないわ」


そう言い放つと義母は、部屋を出て行った。

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