機械仕掛けの星
ニコ
第1話
二十一世紀からの四半世紀、我々人類は不気味の谷を越えることを一つの目標としてきた。そして今ついに不気味の谷を越えることができたのだ……
今月に入ってからこのニュースを嫌というほど見てきた。耳にタコだ。けど、ニュースは字幕でしか見ていないから目にタコか……
大きなため息が漏れる。
そもそも、なぜロボットを人間に近付ける必要があるんだ、と疑問に思ってしまう。
ロボットは人間の代わりに作業をするもの。それでいいじゃないか。
朝食のトーストを齧りながら、誰に聞かせるわけでもない持論を机の上に並べる。
「いってきます。」
誰もいない部屋に言って部屋を出た。
紺色をベタ塗りした様な空と昨日より欠けている地球、まとわりつく暑さが出迎えてくれた。さらに、蝉の合唱付きときた。大盤振る舞いだな、皮肉交じりの言葉を吐く。
父も母も地球に残った。私だけでも助かってほしい。といった内容の手紙を義母から渡された。その義母は孤児院を営んでいるから、幼少期に特別寂しいという感情は生まれなかった。実際今向かっているのは孤児院の仲間との同窓会だ。
同窓会の会場に着いた頃にはほとんどの仲間が店の前にいた。エリザベス、ラン、エンゾウ、フレディ、そして私ドロジア。残りは義母が来れば全員揃うのだが、
フレディは揃ったし行こうか。と言った。「ちょっと待って、ライ母さんは来ないの?」
フレディはきょとんと首を傾げ
「あれ、ドロジアに言ってなかったか。あの人は来ないよ。大事な用事があるらしいから」といった
エンゾウが口を開いた。
「え、それ自分も聞いてないけど、フレディちゃんとみんなに言ったか?」
周りの反応を見ると、その話を聞いた人はいない様だ。
「あれ、俺言ってなかったか。ごめんごめん、じゃあ気を取り直して行こうか」
フレディは娯楽施設の入り口を開けた。
朝方自室の扉をくぐった。
とりあえず眠りたかったが、
寝る前にニュースを見る日課をこなすためにテレビをつけた。
テレビの中ではキャスターが面白くない話をしていた。
特に大きなニュースは無さそうと思いテレビを消そうとしたとき、地球からの映像が流れてきた。
稀地球の様子を映した映像が流れる事コーナーがあるのだ。
稀にある事だったので音を出してみた。
そこには奇妙なことが起きていた。
エンゾウが映っていた。
声も姿も名前も何もかも同じエンゾウが。
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