第2話

□□地方一体に地震とともに響き渡った悲鳴。

それが地球の悲鳴だったなんて説が生まれる1年前。



HRが始まるか始まらないかの時、視界が揺れる。


「机の下にかがめ」


教師が叫ぶ声も、物が落ちる音やガラスが揺れる音でぼやけて聞こえる。

机が小刻みに振動し踊り始め、それを必死で

抑えている頃。

歌が聞こえ始めた。

教師の声よりもはっきりと。

悲鳴にも似た高い声で、切なく悲しくてそれでいて

懐かしい歌が。

原風景じゃないけどそんな言葉が浮かんだ。


しばらくして、揺れがおさまる。

全校生徒が校庭に集められる。


「えーっ、今の地震ですが―――」


校長先生が話し始める。いわく、津波はないが、道路が割れてたり電線が切れてたりして危険だから避難所である本校に留まること、親に連絡を取ること。

そして、この地震が□□地方全体であったという

こと。


彼女のことを思い出す。あの子は□□地方の北の端。

大丈夫かな、、、圧死とかあるって聞くし、、

考えすぎて校長先生の声がおろそかになる。


「えー、この地震は大変■■、、、あれ、、えー、、■■な結果、、、えー、、悲しい結果となりましたが、避難所に来るだろう方々にも優しく接するように」


こんな、校長先生の話も聴き逃してしまった。

そして、教室で待機となり解散していく生徒。

とりあえず彼女のことは頭の隅に置いといて、

これからの事を考える。


とりあえず、親にメッセージすると近くの公民館に

避難してる模様。

そして、彼女にもメッセージ。

いつもより早く着く既読のメッセージ

彼女も避難してるようで大丈夫らしい。

彼女のところも避難が必要なのか、、、この地震の

大きさに驚かされる。


こんな中でも空だけはずっと青い。

なんとなく見上げた空だった、、今まで空なんて

見上げること無かったのに。

少し笑っている自分がいる。

不謹慎だなんて分かってるのに。

「今日も今日とて何も変わらない一日を過ごすのか」

今日は違う。

非日常が始まる気がした。

何を言ってるんだ、落ち着けって理性が反復する。

そう思えば思うほど口角は上がっていた。





『 この地震による被害は現在国が調査中です。その地域に住む方は引き続き余震に注意してください』

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