カフェの君へ
林藤 凛
カフェの君へ
6月、雨の日。私たちはカフェで話をしていた。私たちと言っても、私の話し相手はカフェの店員の男の子。私と同じくらいか少し年上だと思う。少しドジで、気さく、笑顔が似合う彼が私は好きだ。私は今日、この関係を終わらせるために来た。店員とお客さんと関係はもう終わりにしたい。
「ねぇ、今日はもう上がりだよね、、一緒に帰らない?」
「そうだね、帰ろうか」
彼がエプロンを外し始める。ふと窓の外を見ると、雨はあがり雲は消え、夕暮れ時の綺麗な太陽が見えた。密かに勇気を奮い立たせる。
カフェを出て、駅に向かう。横にいる彼は背が高くて、私の頭は彼の肩あたり。彼の肩に頭を預ける想像をしたこともあった。
「ん?」
彼を連れて道を外れる。人気のない小さな路地。周りには誰もいない。誰もいない世界に2人、そんな気がした。
彼が照れながら私を見つめる。私も見つめ返して微笑む。
「好きです」
今日で、店員とお客さんの関係は終わった。
彼の答えを聞いて、「そっか」、私はやっと口に出す。微笑んだ私の目から、涙が零れた。
カフェの君へ 林藤 凛 @rin_maigo
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