第5話 選択
ゴブリンが通り過ぎるのを一旦待つ。
俺が継承した武技なら連中を相手にしての立ち回りも可能だろうが色々と駄目だ。
まず此処が奴らの国である場合は現段階で不法侵入に銃刀法違反だろう。そこに殺人が加わるのはアウトだ。
第二に無いとは思うが鳥獣保護法に引っかかる場合。コッチは最悪正当防衛が当て嵌まるはず。棍棒や剣ある時点で殺傷対象だろう。
大体3分ほど待ち再び歩みを進める。先ほどの光景が脳裏にチラつく所為か気分的な問題で歩みが重い。もの凄い憂鬱だ。というよりあんな連中は何処に居て何故にこの超常現象続きの後に現れたんだ?知り合いにその手の専門家が居るからそういう事には一般人よりか遥かに詳しいが要領を得ないというか何処か噛み合わない。
まるで神の如き異能の力でも働いているかのように。
もしそうだと言うのなら色々と不味い事しかない。もうすぐソレをするかもという覚悟を決めないといけないしその事を誰にも知られてはならない。監視カメラのような視線は感じないとは言えども衛星カメラのような代物だと捉えられていると言う感覚すらもないだろう。
そしてその上で此処を封印する手立てを見つけ出す必要がある。少なくともこのマジックポーチのような非科学的な超越したものがある事は多分世界をも大きく変えることになるのだから。ただその為に超常能力を使用すると言うのは些か疑問を抱くのだが。…そうだとしたらアレはこの事に関して何か掴んでいるのだろうか?何か喉元に刺さるものを感じる。俺が知らないナニカが。
やっぱり殺しておくべきか?不確定要素が多すぎるが故に此方が如何動けば最善かが不明だ。
などを考えながら2つの分岐点を通過する。これまで全部同じ作りの道だ。ただ埋まってある鉱石片などから延々と同じ場所をあるかされているわけではないが完全に同じ距離で分岐点があるという事はかなりの高度技術は使われているはず。かなり几帳面だなここの製作者。
そう考えていると不意に意識が研ぎ澄まされる。この感覚に無意識の内に入るとはかなりの状況であろう。鉤縄の拘束を少し緩めいつでも使えるようにして少し足を早める。少なくとも前方からその異常を感じ取ってしまった以上は無視は出来ない。この辺は理想主義者だと良く注意されたのだがな。
そして数秒と経たない内にソレは現実となる。
「キャ--ッッ!!?」
少し甲高い少女の悲鳴という形で。
ソレを聞き届ける間も捨て俺は全力で走り出した。
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