第4話 迷宮探索

 目を醒ますとシェルターでは無い空間に居た。

 シェルターは真っ白であり奥の方に備蓄庫や発電プラントなどがあるのだがここは土岩のような壁や岩石の床で所々に発光する鉱石でも埋まっているのか暗くもなければ明るくもない。ただ視界には困らない程度には光量がある。

「どこだよ此処」

 体を起こすとそれなりの時間気絶していたらしくかなり体が硬くなっておりほぐしていると足元に革袋があることに気付く。よくあるウエストポーチ型であり中身は災害用セット一式やサバイバルセットに飲食料品があった。…明らかにマジックバッグとか呼ばれる類だよな。いやマジックポーチかこの場合だと。


 あと何故か鉤縄もある。鉤縄とは分かりやすく言うと時代劇などで忍者が潜入時に壁などに引っ掛けているアレだ。何でだろうか。取り敢えず左腕に巻き付けておこうか。全くもって使えないわけでもないからな。工具用のナイフも取り出しておくかな。今朝研ぎに出してたのを引き取ってきたから切れ味は良いはず。あくまで工具用だが。それと共に小石を幾つか拾っておきポケットに入れておく。


「あんま得意じゃないしまだ把握できてないから…ソイ」

 小石を1つこの部屋の唯一の出入り口から投げると小石は放物線を描き狙ったように50m先で跳ねて乾いた音を出しながらその先へと消えていく。時間的にもほぼほぼ問題なしというか少なくとも50m先までは壁はないのだろう。落とし穴はあるかもしれないが。…冷静になるとコレする意味あったか?


 最初にいた部屋から外に出ると道は2つに分かれていた。1つは左に進みもう1つはこのまま真っ直ぐに進む道。ただ左に進む道は確実に10mはあるし真っ直ぐは50mは確定している。そうなると旧特別等の間取りからするに確実に異空間であろう。そうなるとGPSは使えないだろう。使えたところでなんだという話ではあるが。


 そのまま50m先まで周囲を警戒しながら歩くも結局のところ何もなかった。ただの一本道であり所々に苔が生えていたり小石が転がったりしていただけだ。そしてしばらく進むとT字路になりまた左に進む道ができてその先には最初にいた部屋の出入り口ほどの幅のドアがある。

 なんかコレって急にこんな場所に放り込まれたり知らない場所に居て…ツルハシもあったからな…某フリーゲームを思い出すな。100エーカーなホームランダービー同様に難易度ルナティックの。人肉食わされたり呪いの装備をさせられたり地味に強い最弱MOBにでも出会したりしないよな?アレ未だにクリア出来そうにないんだけどな。あのゲームって鎖ないよな…なんでだろ。鎌に斧や手榴弾変わり物に女性用下着もあったよな。投擲武器扱いだけどなんかスゲー代物があるんだよな。

 そう考えると怖いモノがあるんだよな。此処がアレを元にしてるとするならマジでヤバい。地雷なんかもあるからなあとは突然壁を破壊しての狙撃や3連続攻撃なんか流石に死ぬ。


 馬鹿な考えを巡らしながら真っ直ぐ進むと再びT字路に差し掛かると今までに無いモノを感じるようになる。僅かにモノが燃える匂いと音。そして松脂の匂いがありそれだけでなく足音も聞こえるが恐らく履物がない。そして訳の分からない言語で会話をしている事から数匹で行動しているのだろう。松明による光源から見るに緑色の肌をした1mほどの二足歩行。その手には棍棒や貧弱そうな槍に錆びた剣。その下賤な笑みと来れば該当するのはアレしかいないだろう。

「ゴブリンか」

 そう創作上にしか存在しないはずのヤツらが居た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る