第3話 流星雨

 凶兆ね。確かにこれほど無作為に起こる既存の地震のメカニズムを無視してるとな。

「凶兆と呼ばれることは事実ですが…どうしようも出来ないでしょう」

「そうなの。で君の方は?」

「無理ですね。例の噂は本物らしい」

 流石にその発言には驚いたのか赤嶺さんの表情が僅かに強張る。…何故故に貴女がそれほどのショックを?

「上には?」

「そう考えられる証拠が出揃った時点で報告している」

「早いわね。でなんて?」

「現状維持。少なくとももう少し分かるナニカが欲しいと」

 こちらに関しては俺も概ね同意だ。一部意図的に隠している事実があるとはいえども情報が少なすぎるしまだ大きな出来事になっているわけでもない。

「そんなもんよね。じゃあ私は急ぐからまたね」

 この事態を予測していたのか特別棟すぐに付けていた車ですぐに会議に向かう。

「帰るか」


 通学用のリュックを背負い特別棟を出て旧特別棟まで半分というところでソレが目に入る。

 雲一つない蒼い空を凪ぐように無数の流星雨が相互に行き交う。

「なっ!?」

 そのこれまでにない異常現象に目を奪われていると隕石の1つが爆ぜる。まるで映画のような光景に訳も無く畏怖を抱く。やはりあの地震は凶兆なのかそう疑問に思いながら旧特別棟へと急ぐ。あそこはシェルターが最新で丈夫のはず。


 火事場の馬鹿力で本来の俺ではあり得ない速度で走り階段を駆け下りている途中で窓ガラスが割れる音が響き小さな破片の1つが顔スレスレを通過していくのを見て驚く。まるで俺を暗殺するかのような意思を持ったソレはこの場においては命を奪い取る可能性も秘めている。

「っ空いた」

 シェルターを開けるのに若干手間取ると今度はコンクリートの破片が雪崩込んで来るので急いで閉めるとそれまでの疲れ故か床に倒れる。


《コンパイル始動》


 どこか懐かしい声音が遠くなるように聴こえて意識を手放した。

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