第17話
数日後。
私たちの小屋で、山田さんとメリーさんとちえちゃんさんが話をしてました。
「なんでもかんでも、人間の真似すりゃいいってもんじゃねーんだよ!」
牛のモー太郎さんが質問すると、山田さんは大きなため息をつきました。
「社長とあいつが、今度、どっかのテレビ局の番組に出ることになって。もちろん、リモート出演なんですけど。番組に出る前に、話題づくりとして、おれたちとリモート飲み会やりたいって・・・あいつが言いだして」
「リモート、飲み会?」
モー太郎さんが驚いていると、メリーさんがモー太郎さんを見ながら言いました。
「その飲み会の動画を、山田さんの動画で流してほしいって」
「なんだそりゃ?」
モー太郎さんがそういうと、山田さんが軽く手を叩きました。
「モー太郎さんもそう思いますよね?たとえネット上でも、あいつと一緒に飲みたくなんかないって。おれが企画したわけでもないのに、みんなでリモート飲み会しましたって動画を、おれが撮って、編集して、アップしなきゃならないわけよ」
「山田、使われてんな」
「自分たちは何もしないで、人を利用しようとすることばっかり・・・。モー太郎さん、代わってください」
「おいおい!冗談やめろよ」
「あ!」
ちえちゃんさんが突然、大きな声を出しました。
モー太郎さんと山田さんが、ちえちゃんさんを見ました。
「みんなで飲みましょう!」
「・・・ち、ちえ、ちゃん?」
「山田さん、みんなで飲みましょうよ!私たちだけじゃなくて、ここの動物たちと、みんなで!」
「面白そう」
ちえちゃんさんのアイディアに、メリーさんの声が弾んでました。
「・・・そっかあ」
山田さんが、私たちとメリーさんとちえちゃんさんを近くに集めました。
「ちえちゃんとメリーさんは、おれの声が聞こえるぐらいの社会的距離を取ってね・・・。あいつはさ、みんなより先に自分が人間と同じことをしたいし、それをみんなに自慢したいわけよ。だから、リモートで自分以外の動物を出して、あいつを自慢させないようにしよう」
「なるほどね。でも、どうやって?」
チーターのチッタさんが、山田さんに質問しました。
「ここに、一台、ノートパソコンを置いておく。そうすれば、みんなはそのパソコンで飲み会に参加することができるでしょ。みんな、ここに置くのは古いパソコンだから、画面の映りが悪いからって、叩いたりなめたりしないでね」
「アタシも参加できる?」
「花子さんもオッケーですよ。画面に入りきれば、ね」
みんなが笑いました。
「ちょっと、なんでみんな笑うのよ!ちえちゃんまで笑ってる!失礼しちゃうっ!」
花子さんは長い鼻を動かしながら、みんなに鼻息を吹きかけました。
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