第15話

「えっと・・・。花子さんへのコメントは」

 メリーさんは、機械を自分のところに戻すと、あちこち、触りました。

「メリーさんって、私たちのこと、嫌がっているのかなって思ってました」

 機械を触っているメリーさんを見ながら、キリンのきいちゃんが私に言いました。

「メリーさんって、オオカミのお千代さんと一緒にいることが多いじゃないですか?シープちゃんと一緒にこの牧場に入ってきたって聞いてたから、あれ、おかしいな、シープちゃんとケンカしたのかなって思ってたんですけど。シープちゃんと話すこともあるから、言葉が通じない私たちのこと、嫌っているのかなって・・・思ってました」

 きいちゃんは、そんなこと考えていたなんて。

 きいちゃんは、ずっと、メリーさんとお話がしたかったんだってこと、初めて知りました。

「メリーさん、ホントは、みんなとお話したいんです。でも、お千代さんから、みんなとお話しちゃダメって言われてるから、今日みたいに、お千代さんがいないときじゃないと、みんなに会えないって言ってました」

「そうだったんですね・・・。今日、お千代さんがここにいないのは、どうしてですか?」

「社長と一緒に、獣医のところに行ってる」

 モー太郎さんが言いました。

「定期健診だってさ。俺たちは獣医が来るのを待たなきゃならないんだけど、あの方は、自由に獣医のところへ行けるんだってさ」

 モー太郎さんがため息混じりに言いました。


「山田さんと花子さんの掛け合い、最高!」

 メリーさんが動画を見た人からの感想を読み上げています。

「かけあいってなあに?」

「簡単な言葉で言うと、会話。話の内容や話すタイミングとかが、いいってことだな」

「モー太郎さんって、なんでも知ってるよね」

 メリーさんの言葉をモー太郎さんが解説しています。


「花子さんって、私のおばさんに似てる、だって。これ、どういう意味かな?」

 メリーさんのつぶやきに、モー太郎さんが答えました。

「一方的に話をするとか・・・見た目が、人間のおばさんに似てるってことだろうな」

 花子さん以外の動物は笑いました。花子さんは怒っていました。

 メリーさんは、私たちの言葉はわからないのに、笑いながら、私たちを見てました。


「メリーさん、私たちのこと、好きなんですね」

 きいちゃんが言いました。

「そうですよ。メリーさんは、みんなのこと、大好きなんですよ」

 きいちゃんに言いました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る