◆第七章◆ 懺悔と殉難(7)

「アタシの行く道は――決まっている」

 再び目覚めたあの日、長い旅路へと出たあの日、誓ったことだ。

 だから‘わたし’はどんな懺悔でもしよう。如何なる十字架もこの身に背負い続けよう。

 そして‘アタシ’はどんな殉難じゅんなんも厭うまい。如何なる呪いもこの手で打ち破り続けよう。

 わたしは‘アタシ’の為に、アタシは‘世界’の為に、殉じ続けよう。

 ならば――

 ならば機構獣のろいは全て葬り去ろう。それが如何なる相手であろうとも。

「だから――許せ」

 フギンとムニン、白金と黒金の銃口が動き――その先に標的を捉えた時。

 六体の動きが、止まった。そして――


 ――いいんだよ、お姉ちゃん

 ――わたしたちは、大丈夫

 ――ボクたちはじき消えてしまうから

 ――少しだけ、僕らが動きを止めれるうちに

 ――これ以上、お姉ちゃんを傷つけるまえに

 ――一緒に、正しいお話をつくらせて


 『そして――エレナお姉ちゃんに届けてあげて』


 ――――!

 子供たちの最期の魂の声が響き――薬莢と硝煙が舞う。

 風が全てを攫っていき――六つの影はゆっくりと砂海に沈んだ。

「ああ――約束する。アタシが――必ず……!」

 顔を伏せたままそう呟き――ディーンは白き邪神へと向かって歩き出す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る