◆第七章◆ 懺悔と殉難(3)

 陽が沈み、そしてまた昇る。

 日射しを浴び、砂の大地では蜥蜴が身を震わせ、老木の枝では一羽の鷹が毛を繕っている。何もかもが灰となった大地を見つめながら、ホークは手を組んで丸太の上に鎮座していた。

 早急に保安局へと馬を走らせ、本部に報告すべきだ。それが職責としては正しい。

 対策本部が設置され、差し当たって街への救援隊が派遣されるだろう。だが――救援すべき者などもうここには残ってはいない。そして機構獣の対策が具体的にとられるのは、もっと先の話になるのは明白だ。だったら――自分が進むべき正しい道はどちらなのか?

 組んだ手に額を押し付け、顔を伏せる。

 ――――!?

 唐突にその頭に水がかけられた。

 がらん、と音を立てて目の前に転がる水桶。

 見上げると、白い愛馬がじっとホークを見つめている。

 その瞳と視線が交錯し――

「――そうか……そうだよな。はっ、ははっ……何を、何を迷ってたんだ、オレは」

 己の馬鹿馬鹿しさを笑い――ホークは立ち上がった。

「おかげで目が覚めたぜ、シルビア……!!」

 老木の上で猛禽類が毛繕いを終え、羽を広げる。

「オレはホーク、ホーク・ギャビン。ただの物好きな――色男だ。お姫さまの後を追わない理由が――どこにある……!!」

 やがて白い鷹は曙光しょこうを求め――天へと羽ばたいた。

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