◆第六章◆ 真相(6)

 既に太陽は真上に上っており、天窓からは強烈な日射しが降り注いでいた。

 その眩さに開きかけた目を再び閉じ、寝返りをうつが――階下がどうも騒がしい。ディーンはベッドから身を起こし部屋を出る。

「ディーンさん……! エマが……エマの姿が見当たらないんです、街のどこにも!」

 階段に差し掛かったところで、動揺した様子のエレナが訴えてきた。

「……なんだ? 昨日は教会に泊まってたんじゃないのか?」

「そのはずだったんですが……教会には来ていないって、神父さんが……!」

 まさか一人で街の外に……? 運悪く機構獣と出くわしていたら――

 ディーンが階段を駆け下り、宿屋のドアを開け外に飛び出すと――これまた勢いよく宿屋に飛び込もうとしていたホークと鉢合わせる。

 出会い頭に激しくぶつかりそうになるも、どうにか止まり事なきを得る。

「うぉっ!! ……っとと……どうした? ホーク。そんなに慌てて」

 ただならぬ様子のホークに声を掛ける。

「やられた、ダーレスが逃げ出した! 誰かが牢の鍵を外しちまったみたいだ!」

「なんだって!? こっちは……昨夜からエマの姿が消えてるみたいなんだ」

 二人は顔を見合わせる。

 まさか……ダーレスが何らかの方法でエマに鍵を開けさせ、人質にとって逃亡を……!?

「ディーン! オレは北から東方面を当たる。お前さんは南から西を頼む!」

「わかった、エレナはアレンたちと、もう一度街と近隣を捜索してくれ! ダーレスの残した手がかりがあるかもしれない」

「は……はい、わかりました!」

 各自が分かれ一斉に動き出す。宿の裏から現れたニールに飛び乗り、ディーンは南門を目指し走り出した。

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