◆第六章◆ 真相(4)

 教会の鐘の音が響き、蒼天に白いハトが舞う。

 広場の向かいに佇む大樹は、静かにそれを見守りながら果実を揺らしていた。

 若き二人は神の御前で誓いの口づけを交わす。

 神父に促され、清楚なドレスに身を包んだエレナの手をとり、緊張の面持ちでアレンが参列者の中を進んでいく。

 色とりどりの花弁が舞い、拍手が二人を包み込む。顔をくしゃくしゃにしたホセと、花の入った籠を持った子供たち、そして沢山の街人やハンターが並び、二人を祝福する。

 最後に立つディーンとホークの前で止まり、二人は笑顔を向ける。

「おめでとう。二人とも」

「ありがとうございます。これも――ディーンさんのおかげです。少しだけ、大切なものを守る勇気と力をもらいました」

「アレンが自分で決断して開いた道さ。アタシは何もしちゃいないよ」

 首を振りディーンは答える。

「エレナ・ブラウン改め、今日からはエレナ・プライスだな。幸せにな」

「ありがとうございます。ええと……ディーンさんと会えて本当に毎日楽しかったです。今夜は酒場も無料で開放されるんで、旅立たれる前に楽しんでいってください」

 恥ずかしそうに、エレナが顔をほころばせた。

「ああ、お言葉に甘えさせてもらうぜ。二人を祝って今夜は盛大に朝まで飲むつもりさ。ホークも付き合わせて、な」

 ディーンの宣言に、ホークが好きにしてくれとばかりに腕を広げる。皆から笑い声が上がり、広場に響きわたった。

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