山根俊哉

びーびびっ


枕元のスマホが特徴的なリズムでバイブした。

「トシくん、今日も愛流預けるから、会えるよ!」

俺は仰向けから体を反転させスマホのロックを解く。


また真弓からだ。


「会えるよ!」って言うか、そんな別に会いたくないんすけど。


真弓は同じ棟の下の階に住んでいる年増のシングルマザーだ。


胸はデカいし、顔はまあまあ。

おちぶれたグラビアアイドル、と言えばそれでも言い過ぎかもしれないけど。


しかしあっちは確か38、俺は26。


さすがに一回り上の女を友達にはおろか、同居してる親にすら紹介なんて出来ない。


むしろ俺的には緊急用のセフレとしか見てなかったのに。


最近のしつこさときたら、真弓俺と再婚でもする気か?


いや、ないないない。


無理だよ。


うるせーガキいるし。


多分一生に住んだら虐待とかしちゃうと思う。


事実あいつんちで飲むとたまに手ぇ出ちゃうんだよな。



あーあ。

同じ団地内だから振るに振れない。


シカトもできない。


なんか別れるための良い案ねえかな?

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