僕と俺のねじれトライアングル~お互いの攻略可能ヒロインが、それぞれ逆グループに所属しているせいで、中々女の子からの好意に気づけないまま、どんどんと拗れていく青春ラブコメ~
第4章 完成してしまったねじれトライアングル×2⑥
第4章 完成してしまったねじれトライアングル×2⑥
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「よくわからないけど、貴方だいぶ面倒なことになってるみたいね」
放課後。同好会の最中に漫画を読んでいた進藤さんがふとそう話しかけてきた。
「六限目の体育の後、更衣室で着替えてたら桜井さん達に言われたのよね。『悪いこと言わないから、冴羽とは距離とった方がいいよ』って。ねぇ、どうしたらいいと思うかしら?」
「それ僕に直接聞きますか普通……」
試すように見つめる進藤さんに、僕は苦い顔で応える。そりゃあ、本心では止めてください一択だけど、僕と関わることで進藤さんに迷惑がかかるのはそれはそれで――ああ、ほんとどうしてこんなことに。
そう内心で懊悩していると、不意に進藤さんが笑みを零した。
「ふふっ。心配しなくても、他人から何を言われようが、別に貴方と距離を置くつもりなんてないから。安心なさい」
「進藤さん……」
感極まって目頭が熱くなる。僕、進藤さんと友達になれて本当に――
「ま、友達コース基本プラン、月額一万円をこれからも継続してご利用いただけるなら、の話にはなるけど」
「してないよね、そんな契約!」
もう、感動を返して欲しい。
「別にそこまで悲観的にならなくてもいいと思うわ。蓮条さんが冴羽君の宝物を持っている経緯を知ってる側からすれば、早々に誤解はなくなるでしょうし。何より蓮条さん自身が、貴方と対立したいと思ってないはずだから」
「そうでしょうか……」
僕には到底そう思えなかった。
あの後すぐ昼休みの終了を告げるチャイムが鳴って事なきを得たけど、昼休みの様子だと、思いっきり敵意満載だったから。
まぁ今どうこう悩んでいても仕方ないことだよね。
気を切り替えようと息を吐く。
その直後、同好会室の扉ががらりと開かれた。
「冴羽はいるか?」
現れるなり大きな声を上げたのは、クールな出で立ちのポニテ少女、生徒会書記を務める遠野さんで。
「は、はい。何でしょか……?」
唐突なご指名に、僕は怖ず怖ずと返事する。恐らく、生徒会関連だよね。にしても遠野さん、慌ててるような感じだけど、一体何が。
「何と言われてもどう説明すればいいのやら……」
僕の言葉に、苦悶の表情を浮かべる遠野さん。
「とにかく、今すぐ生徒会室まで来てくれないか? 会長の様子がおかしいんだ!」
「へ?」
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