第20話 春日井桜子・チン
春日井さんが高校生の頃まで、彼女の実家では亡くなった彼女の祖父が度々姿を見せて、家族を驚かせていた。
「見慣れたつもりでも、意外なところから出てくるから、ついびっくりしちゃうのね」
そう語る春日井さんだが、ある日自販機で買ったカフェオレを温めて飲もうと、マグカップを電子レンジに入れて扉を閉じたところ、何のつもりかレンジの中にお祖父さんの顔が現れた。
もちろんびっくりしたが、びっくりした拍子に、彼女は「あたためスタート」のボタンを押してしまった。
電子レンジの中が明るくなると同時に、お祖父さんの顔は消えた。
温まったカフェオレは、なぜかまったく味がしなかったという。
どういうわけかその後、お祖父さんの出現頻度はめっきり少なくなり、今ではお盆に出るくらいになった。
この話は家族はおろか、親戚一同にまで知れ渡り、今でも「あんたはお祖父ちゃんをチンしちゃったもんね」などとネタにされているらしい。
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