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 一体どういうことか。


 しかしどうして一体、間違いなく昔の自分にそっくりな姿の子がそこにいた。

 唖然としていると、さらに驚くことに浴衣を着た女の子がやってきた。


「ごめーん! お待たせショウくん。浴衣着せてもらうのに時間かかっちゃった」


 女の子は手に巾着を持っていて、水色の生地にヒマワリ柄の浴衣を着ていた。ショートカットに星のヘアピンをしていて、浴衣とよく似合っていた。

 まさに小学生のお祭りモードって格好だ。


「いいよいいよ、さっ金魚すくいでもしに行こ」

「えー、金魚最初にとったらお祭りの間に弱っちゃうよ」

「あーそっか、それもそうだね。じゃあ後にしようね」

 なんて会話をしながら境内に入っていく。


 しかし、あぁ、なんということだ。

 あの浴衣の女の子、間違いない。

 咲ちゃんだ。


 僕はもう、口をぽかんと開けたまま立ちすくんでいることしかできなかった。

 

 しばらく惚けていた僕は、はっと我に返った。

 そうか、わかった。これ夢だ、夢ならば全部納得できる。

 僕は試しに頬をひっぱってみると、痛かった。

 鳥居に頭をぶつけてみた。普通に痛かった。周りの人が少し変なものを見る目でこちらを見た。


 つまりこれは夢じゃない。証明終了。

 まぁ落ち着け、こういう時は状況を整理すればいいんだ。

 僕はお化け屋敷に入って、出口にたどり着き、そしたら昔の僕と咲ちゃんがいた……。うん、全然意味がわからないぞ。


 やっぱりタイムスリップってこと? いやまさか、ありえない。

 きっとあれは僕と咲ちゃんに似ている子たちに違いない。ショウのつく名前なんてありふれているもの、僕に似た顔のショウくんがいてもおかしくない。


 それにもしここが過去だったとしたらおかしい。僕が今下宿しているこの神社は他県だし、子供の頃にこんなお祭りに行ったことなんてないと断言できる。ましてや咲ちゃんと2人でなんて、記憶に残っていないはずがない。


「……ってか2人でお祭りって、それデートじゃん!」

 今さら気づく衝撃の事実。

 あまりのショックに独り言が口から飛び出した。


 これは昔にタイムスリップしたわけじゃない? でも、だとしたら、あのどう見ても若い定食屋のおばちゃんはどう説明する?

 いったいこの世界はなんなんだ。謎は深まるばかりだ。


 しかし、そんな重要なことを差し置いて、僕はあの2人の行方が知りたかった。ちゃんと楽しくやれるだろうか。

 当の本人でもないのにいろいろと不安になってきた。


 でももし万が一にでも昔の僕が今の僕に気付いたらどうなるのかわからない。あるいは2人のデートの邪魔をしてしまうかもしれない。


 悩んでいた僕は、首にかかったお面を思い出した。

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