第7話

次の日僕は校長室に呼び出された。

僕の両親も佐藤の両親も呼び出され事情の聴取が行われた。

結論から言うと、僕に課されたのは停学一週間という意外にも軽いものだった。

佐藤の両親は校長に抗議していたが、佐藤がバットを持って襲ってきたという事実や彼の普段の素行の悪さの結果、ほぼ全面的に向こうが悪いということになった。

校長室から退出するとき思わず大きなため息が出た。

生きた心地のしない時間だった。


自宅での両親はまるで腫れ物でも扱うように僕に接した。

当然と言えば当然だ。

父にとっても母にとっても僕は喧嘩なんて出来ない気の弱い子ども、いきなり他人に大ケガをさせたなんて聞いてさぞショックを受けたことだろう。

普段共働きで遅くまで帰って来ない2人も、このときばかりは早めに帰って来たり、仕事を休んだりして息子と一緒にいる時間をつくろうとしていた。


一方僕はここ最近の自分の変化について考えを巡らせていた。

端的に言えば指輪のことだ。

良いことも悪いことも全てあの指輪から始まっている。

思えば今までの僕はまったく“らしく”なかった。

他人を傷付けることをなんとも思っていなかった。

家族と過ごす時間が増えたことで、自分の精神状態がかなりおかしくなっていたと自覚出来た。


「やっぱり、あの指輪は捨てよう。」


成績は下がるだろうし、もうクラスの中心人物ではいられないだろうが、それで良いじゃないか。

何かあれば家族がいる。

両親に相談すれば良いのだから。

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