短編ながら、読了感のある作品でした。第一次大戦は、地上では残酷な殺戮が繰り返されている一方、空には騎士道精神に溢れた戦いが繰り返されているとよく言われます。
しかし、筆者は、騎士道なんか糞食らえ!の感じ、……といいながら、最後の場面では、戦場での敵兵との心の通じあいを感じます。作者的に騎士道を口にしたくないなら、言葉を代えれば命を掴んだ人間同士の交流と、糞みたいな戦争への批判を感じます。
私も戦史は好きですが、残念ながらレッドバロンの話しは読んでません。また、海の騎士道、軽巡エムデン号の活躍は読んでませんが、海の鷲・ゼーアドラー号の活躍は読みました。仮装巡洋艦とは言いながら、軍艦とも言い難い帆船のゼーアドラーにも似た主人公の真っ正直な思いが伝わり楽しかったです。