非力なキャラクター


 当たり前の話ではあるのだが、創作世界の中であっても、力を持たないキャラクター(人物)はいる。

「本当は力がある」とか、「誰かに認めてもらえる」という方向に持っていくキャラクターもいる(主人公もその一部か)のだが、それは力を持たないとは呼べない気がする。端的に言うのなら「村人A」ということになるだろうか。

 さて、このキャラクターをどうにかして脇役ではなく、主役に持っていきたいと考えたとき、どんなパターンが考えられるか。(途中で力を得てはならないとする)


 村人Aの生活を延々と描き続ける作品は退屈だろうか。退屈ではないかもしれないが、それは現代を舞台としたエッセイと変わり映えしないか。むしろ世界設定を考える必要がある分、書く敷居が高いエッセイと言うことになる。

 何らかの事情で力を持った人物やモンスターと接する羽目になってしまうというのはどうか。その場合、必要性の問題が立ちはだかる。「力がないのにどうして?」ということだ。偶然そうなるにしても、そのお膳立てが難しい。力があれば「引き付けられて」とか「対決することになって」という話に持っていけるのだが……

 あとは、その人物と幼馴染だったとか。しかし、力を持たなくては釣り合わなくなるし、何よりその人物のついでになってしまうことが目に見えてしまう。

 いっそのこと終末の世界を基にした一般人のサバイバル劇ならば、非力さのおかげで盛り上がるだろうし、不自然でもなくなるか。今度は病的なまでの幸運の問題が発生するが……


 思ったよりも難しい。「力を持たない」というのはリアルな設定ではあるけども、それが面白いかどうかは別問題と言うことだろう。

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