不満が創造をつくる
麻雀をやる機会があった。ざっくりいうと14枚の牌を使って綺麗な模様を作ったら高得点になるゲームである。国士無双などは有名な役として聞いたことがあるかもしれない。
相手は大学時代の同窓生三名。全員が全員同レベル、ルールだけ知っている程度の実力だ。綺麗な模様になるよう、一枚を場から取ってきて、不要なものを一枚捨てる。
何周もしていると、同じ模様が揃ってくる。ポーカーでいうストレート(番号が連続する)やフラッシュ(マークが同じ)に近づいていくわけだ。
さてここから……というところで相手の一人が模様を揃えてしまった。それも上がりの早さの割に得点の高い(揃えるのが難しい)役になっている。
当たり前だが、麻雀には運の要素が絡む。イカサマすれば話は別だが、最初からある程度揃っているケースもあれば、バラバラということもある。
というのを踏まえても、今回のゲームにおける運の悪さはなかなかであった。模様が一向に揃わない。捨てた牌が実は次の手順で非常に有用になったり、揃う一歩手前で地団駄を踏んで、相手に上がられるなど。
ゲームは終わったが、どうにも三人に点数を与えたようにしか思えなかった。
家に帰って、改めて結果を考えてみる。確率の世界とはいえ、自分の選択がそんなに悪いようには思えなかったからだ。
分の良いはずの賭けに負け続けるというのは、勝ち負け以前に納得が出来ない。
そんなことを延々悩んでいても、実際に負けは負けだ。大人しくしているしかないだろう……
納得出来る出来ないの往復を何回もしているうちに、自分が本当に求めている麻雀の姿に気づいた。
麻雀に求めていることは、高い得点と成立難易度とのトレードオフであるだとか、相手がどんな模様を作り、どんな牌を待っているのかを予測する駆け引きにある。端的に言えば、そこさえあれば、
結果として考えついたのが、デスティニー麻雀(仮)であった。常に揃う三歩手前くらいのランダムな状態から開始。
毎巡自分の好きな牌を取ってくることができる。どんなに難しい模様でも狙いにいけるだろう。
ただし、揃う一歩手前になったら、手を変えることは出来ず、更に好きな牌を取ることも出来なくなる。(ランダムに取ることになる)
更に好きな牌を取る力は各プレイヤーにも与えられている。下手に一歩手前にしてしまうと、手は変えられない上に、相手の思うように牌を取られるリスクもある。
ただ上がるためにはその悪条件を呑むしかない……という点で駆け引きが生まれる。
とこんな感じである。好きな牌を取るなんて挙動は現実ではとてもやれないので、実現するなら、ゲームの世界ということになるだろう。
このアイデアは、ゲームに不満がなかったら登場しなかった。改善するには欠点、不満が必要なのだ。前回の「答え」に対する「問い」のようなものである。
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