文章の雑さ


 雑な文章というものがある。誤字脱字は置いておくとして、真意が読み取りにくい文章構成であったり、肝心な部分(結論)だけをぶん投げているなどが該当する。

 話が二転三転し、何がなんだかわからない。文章の繋がりもなく、天気の話をしていたのに、その次の行で突然「そういえば、年金が最近危ないと聞く~」となり、最終的に「だから自分だけのエモさを大切にしよう」と結ばれたら、読む側に多くの労力が割かれることは当然である。

 以前「テンプレは書くのは楽だが、(前提知識ありきになるので)読むのは難しい」と書いたことがあるが、それと同じ。読む労力に見合わない内容だとすると、それは雑な文ということになる。

 文章がしっかりしていたとしても、アイデアの練り込みが足りていないとなれば、それは純粋な文に一方引いている。混じり気がない(か、逆に驚きをもたらすほどに混じっているか)方がやはり文章の質は高いのだろう。


 猿がタイプライターを乱暴に叩く。無限回繰り返せばシェイクスピアの「ハムレット」が偶然出来上がるのではないか、という定理がある。

 その真偽は別として、その無限回のほぼ……それこそすべてが雑、ランダムに作り出された文字列ということになる。

 人はそんな風にはならない。文字列の中に意味を見いだし、綺麗・・に並び替えることができる。

 それはなぜだろうと思う。

 AIでも意味解析とか、構文解析などを用いて、文の規則性を紐ほどこうとする動きは多い。それによって文法を守った最低限の文章は量産できるのだろうと思うのだが、それは上記に挙げた雑な文章から抜け出せるものなのだろうか。


 何をもって綺麗と判断するのか。いや、判断できるのか。

……その諸々に回答できる術を持っていないが、綺麗なものがあるというだけは分かっている。

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