異世界と現代技術
電化製品(と電気)を異世界に持ち込むことが出来たのなら、住民はきっとびっくりするだろうなあと思う。
個人的には冷蔵庫が一番驚かれそうだ。日本でも昔は「三種の神器」とまで呼ばれているだけはある。食材を長期間保管出来るのは大きいし、ものを冷たくする性質自体がびっくりものだろう。
現代の技術。自動車、船舶、飛行機といった移動方法を始めとして、プラスチック、医療技術、兵器、世界に広がる電線、電波……現代技術で異世界を生き抜くというネタが出てくるのもうなずけるほど、各分野の発展は凄まじいものがある。
何かのありがたみを知りたければ「それがなくなったらどうなるか」を想像してみればいい。プラスチックがなければどうなるか。軽くて、(ある程度)頑丈で、安価、しかも腐食もしない。一分も経たずして、これだけのメリットが挙げられる。ペットボトル含めて、環境問題の原因となってしまってはいるが、これらの物質が与えてくれる恩恵は計り知れない。(環境問題そのものが、文明の進化と密接に関わっているのだが)
現代技術の恐ろしさ(?)は「再現が出来る」「量産が出来る」点に尽きる。唯一性、英雄性からはかけ離れた強みであるが、ただでさえ浮世離れしている現象を、確実にいくらでも生み出せるというのは驚異以外の何物でもない。
あるときは異端者(主人公・悪役)に、あるときは大自然に踏み倒される噛ませ犬としての役割が強いのだが、津々浦々に置かれた照明のおかげで夜(闇)を恐れなくなり、徹底された衛生管理のおかげで、腐敗したモノや水を摂取することもない。
現代技術に頼りきりの人は弱くなったのだろう。だがそれは、弱くても生きていける枠組みが存在していることを意味しているのであって、決して悪いだけのニュースではないということだ。
現代技術のない異世界に引っ張られたらどうするか……せめて冷蔵庫(と電気)くらいは一緒に転送してもらえるように祈ろう。
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